第94景 〜唐沢山城の詳細

第94景 〜唐沢山城
カメも歩けば城に当たる… 城跡酔夢譚
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記事タイトル 第94景 〜唐沢山城
概要

唐沢山城(本丸:唐沢山神社):栃木県佐野市富士町→Map 続日本百名城No.114築城:延長5年(927年)  築城主:藤原秀郷 主な城主:佐野氏   連郭式山城かつての本丸は築城主藤原秀郷を祀った唐沢山神社となっている。(撮影2017年3…… more 月)三月末のある朝、都心の天気は上々だが、少しモヤが掛かって遠方の見通しは良くない。行くか、日を改めるか一瞬考えた。目標は栃木県佐野市の唐沢山城(からさわやまじょう)だ。「江戸俯瞰」の城と呼ばれ、それが元で徳川幕府の不興を買い 城割り(廃城)となった。俯瞰、まさに江戸を見下ろす城だったという。たしかに佐野市は都心から80km圏で、今も標高約240mの唐沢山山頂からは東京都心の高層ビル群や、スカイツリーなどが目視できるらしい。当時も江戸府内を見下ろすことができて、それが「怪しからん!」と幕府に睨まれたわけだ。それならば自分もこの目で確かめてみたいと思う。それから、この唐沢山城は関東の城としてはめずらしく、石垣を多用した築城だという、さらに、最近読んだ本から、撮りたい写真のイメージもある程度固まっていた。 そんなわけで、一気に佐野まで駆け抜け、登ってみた、本日はその唐沢山城からの報告だ!その後「続日本百名城」に選定されたとのことで、喜ばしい限りである!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・*関東七名城のひとつと称された城郭をゆく東北自動車道を1時間ほど走り、そのまま山頂に近い、いま駐車場とレストハウスがある蔵屋敷という平地まで車で上った。ここから本丸へ向けて徒歩となる。登り口の「唐沢城跡碑」からクランク状の食い違い虎口 となり、すぐにこの城の見どころ「天狗岩」へ登ることができる(予想通り当日の見通しはいまひとつだったが)。内枡形を過ぎるとすぐに「大炊(おおい)の井」と呼ぶ井戸。さらに大堀切り「四つ目掘り」が現れ、これはもう明らかに神社ではなく、城の構えであり、気分が一気に高揚する。 くい違い虎口:敵を直進させないよう折れを作り、内側に枡形を持つ出入り口。天狗岩からの眺望 :南東方向の視界が開け、かつては物見櫓が置かれた。大炊の井:直径9m、山頂付近にあって現在も涸れることなく水を蓄える。四つ目掘り:東西を分断する堀切、曳橋が架けられ非常時には通行を遮断。・・・・・・・・・・・・・・・*見どころ・関東屈指の石積みを見にいこう道は神社の参道でもあり整備舗装されているが、本殿まで真っ直ぐ向かわず、帯曲輪から三の丸、二の丸そして本丸と連郭式に並ぶ郭を見ながら登って行くことをお勧めする。この辺りには本丸の高石垣はじめ石積みがよく残っている。高石垣:本丸南西面を固める高さ8m超の石垣。豊臣氏とつながりの深かった    佐野(宝衍)房綱の時代に築かれたという。南城の石積み:蔵屋敷、武者詰といわれ周囲を石積みで固める。南城からの眺望も良く、富士山や都心のスカイツリーも見えるそうだ。南城下の石積み・・・・・・・・・・・・・・・・・・*唐沢山城を描いた「見えすぎた物見」伊東 潤この短編集の冒頭に収録された「見えすぎた物見」を読んで以来、唐沢山城へ行く機会を覗っていて、今回やっと叶ったわけだ。ちなみに表題の「城を噛ませた男」は昨年の大河でも話題だった真田昌幸、名胡桃城事件を題材にした佳作、是非ご一読を!「城を噛ませた男」〜伊東 潤(光文社文庫 収録)「見えすぎた物見」:時は戦国、武田、北条、上杉が覇を争う北関東の地で、生き抜かなければならない弱小国人領主だった佐野氏主従の悲哀の物語。その佐野氏の本拠が唐沢山城で、筆頭家老の天徳時宝衍(ほうえん)の知謀、時代を読む目が、視力の優れた物見(見張り役)、そして眺望の良い唐沢山城に重ねて描かれていて、冒頭から一気に引き込まれる。本丸の唐沢山神社は佐野氏の祖先である、藤原秀郷(俵 藤太)を祀る。戦国期の佐野氏は康綱、豊綱、昌綱、宗綱の四代に渡り領国を保持してきたが、越後上杉、相模北条、甲斐武田の台頭により 生き残りをかけて綱渡り的な外交を続けてきた。一時当主を亡くし北条に支配されたが 、秀吉の小田原攻めの後、宝衍が還俗し佐野房綱を名乗り、佐野領三万二千石 を安堵された。さらに豊臣家臣富田信種が佐野氏を継承した。房綱は隠居したが、慶長期に入ると、唐沢山城を西国風の石垣を多用した城郭へと改築した。今に残る石積みはこの時代のものである。 で、最初にあげた城割りの顛末はと云うと、慶長七年(1602年)江戸の火災を唐沢山の物見がいち早く見付け、駆け付けた佐野衆により大火は未然に消し止められた。これに対して城主佐野信 (信種改め)が江戸二代将軍秀忠から呼び出しを受け、江戸俯瞰を理由に城の破却を申しつけられる。さらにいろいろ難癖を付けられ改易となり、佐野氏は取りつぶしとなった(徳川のいつもの手である)。・・・・・・・・・・・・・・・・・本日の一枚佐野家の生き残りに奔走した宝衍房綱が指揮して築かせたという石積みを見たかった!時の経過を思わせる巨木と、石に差す木漏れ日の印象が事前にあって、そのためにあえて桜開化のまえ、葉が茂る前に登城しここに視線が惹き付けられた。何か感じて頂けたら幸いである。 更新が滞っていて、お恥ずかしい限りだがまた、よろしくお願い致しまする。じゃぁ また   close

第94景 〜唐沢山城
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タグ 関東の城
投稿日時 2017-06-02 15:20:00

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