讃岐小豆島 星ケ城  西峰と東峰から成る素晴らしい眺望の山城の詳細

讃岐小豆島 星ケ城  西峰と東峰から成る素晴らしい眺望の山城
久太郎の戦国城めぐり
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記事タイトル 讃岐小豆島 星ケ城  西峰と東峰から成る素晴らしい眺望の山城
概要

讃岐小豆島 星ケ城 (香川県小豆郡小豆島町安田・星ケ城山) <県指定史跡> <ちょっと小豆島まで行ってきます・②>坂手港から安田館を訪問した後はいよいよ星ケ城山へと登っていきます。こちらの相棒は20インチタイヤのミノベロ自転車(ロデム君)。計画したようで無計画。いいんです、こんな…… more 状況がたまらなく好きです。別当川から見上げる星ケ城山。あんなところまでチャリで行けるの?星ケ城山、標高814m。とりあえず道路はあるからペダルを踏んでいきます。なだらかな坂道はそれでも徐々に傾度を増していきます。途中で目に入る「レンタカー」の文字に心が揺れ動く・・。いやいや、努力と根性、欲しがりません勝つまでは!(そもそも無謀) まずはこの先のロープウェイ乗り場まで頑張ります。途中内海ダムの景色に癒され、休憩。全く容赦のない坂道をヒルクライムとばかりにひたすら漕ぎ進むのでした。まずは第一目標、寒霞渓ロープウェイ、こううん駅に到着!実はこのロープウェイに乗って寒霞渓を愉しみたい、というのもありました。それにこれに乗ることで山頂近くまで一気にショートカットできる利点もあります。でも、ここに辿り着いて思いました。正直に言います。「頂上まで自転車でなんて最初からムリ!」(助かった)ひそかにほくそ笑んでみます。ナイス俺!ナイス俺、貸し切りのロープウェイ内にて次の愚策を練る。寒霞渓ロープウェイは山麓の紅雲亭にある「こううん駅」(標高295m)を出発。山頂駅(標高612m)間の全長917m、高度差312mを5分で結びます。料金は片道1050円でしたが、輪行自転車持ち込みは手荷物扱いで+100円でした。いやぁ~、絶景、涼しい、そしてなによりラク!※日本三大奇景ともいわれてる、独特の侵食奇岩が見られます。※耶馬渓 (大分県中津市)、妙義山 (群馬県下仁田町/富岡市)とここ寒霞渓です。寒霞渓頂上に到着。あれ?頂上晴れてる(((o(*゚▽゚*)o)))!山頂814mの星ケ城に対してとりあえず標高612mの所まで来れました。残りの比高は約200m、かなり気持ちが楽になりました。ここからは自転車で星ケ城下の駐車場まで一気に漕ぎ出します。自転車を漕ぐこと約10分で星ケ城山登山道駐車場に到着。ここからは歩く事になります。しかし、目的地はもうすぐそこ、という感じです。少し身だしなみを整えて、休憩。登山の準備を整えます。遂にここまで・・。涙、ではなく汗(;д;)が目が染みて字が読めん・・。星ケ城は西峰と東峰、2つの峰の頂部にそれぞれ城郭を構えていました。最高峰を擁する東峰を主郭とするようですが、それも定説。実際に遺構の配置をこの目で見てみないことにはわかりません。<星ケ城・西峰へ> それでは星ケ城まずは西峰から登城していきます。西峰の頂部平坦部に祀られている西峰・阿豆枳神社。阿豆枳神社は西峰・東峰それぞれに祀られ小社が建っています。こちら西峰・阿豆枳神社は周囲を平石による石垣に囲まれています。ここまで来てまず感動したのは麓がまで見下ろせる景色でした。西峰頂部から望む景色が美しかったです。疲れ吹っ飛ぶ、とはこのこと。遠くに見える街並みと港、その向こうの瀬戸内海。快晴でしたら四国大陸(大陸といっていいものか?)も見渡せるそうです。「あそこから登ってきたんだ~」と感慨ひとしお気分(´ω`人)。そしてありましたありました、「星ケ城の石碑」。でも達筆すぎてパッと見読めない。でもこれ本当に「星ケ城」と読むのでしょうか?「星ケ」、まではなんとか素直に読めます。・・が「城」の文字がどうも怪しい・・。でも、まぁ、素直に嬉しくて小躍りするのでありました。西峰曲輪の周辺を散策してみます。下の空壕と呼ばれる遺構です。登ってくる外敵に対して身を隠した壕の址だと伝わります。いわゆる武者隠しに相当する遺構なのかもしれません。見方によってはその残存状況から排水施設の址、とも考えられています。西峰の居館跡。東峰にも居館を設けて、東西の峰で連絡できるような体制だったようです。西峰居館には頂部曲輪との間に明確な切岸による段差がかけられている。岩場の多い山中でこの空間だけは岩・石が撤去されています。その削平度や広さから見て常駐スペースととらえるに相応しい空間と思われます。またこちら側からは瀬戸内海から備前・備中・播磨方面の眺望が効くことも利点がありそうです。堀切は内堀切と外堀切の2条が確認できます。こちら2枚が内側の堀切です。堀といっても全体的に深さはありません。かろうじてその痕跡が残っている、といった感じです。ただ、掘り上げた土で土塁を築いた様子はよく観察できます(現地では「土壇」と表記)続いてこちらが外堀切。連続堀切ではないのですが、尾根に対して2本の並列堀切で備える、といった感じです。こちらも掘った土を土塁用土に使った形跡が見られました。堀底は南北に対して竪堀状に落とされています。こちらもそれほど深さは感じられませんが、堀の幅は大きく、やはり外堀らしい遺構です。防御遺構としては城中でもっともそれを感じさせてくれるポイントでした。やはり中世の山城、といっても南北朝期の特徴を表しているように見受けられます。堀切からその尾根伝いには星ケ城神社が祀られています。西峰遺構はおそらくこのあたりまでが城域だったように思われました。<星ケ城・東峰へ> 次に星ケ城・西峰から東峰へと渡ります。西峰と東峰の間には鞍部があり、明確にその城域が分けられているように思います。一旦鞍部に降りて、分岐点から東峰に登っていきます。西峰・東峰間それぞれの距離は約350mといったころでしょうか。東峰で最初に見られる遺構の人口井戸。深さは5m程あるようです。井戸の周囲は石組みが見られます。雨水を貯水したと考えられていますが、深さも充分そうです。現在は落ち葉が堆積していますが、取り除いたら案外水の手が残っているのかもしれませんね。東峰の船形遺構です。長さ6m、幅3mの船形に板状の石が散乱しています。これは石塁を築くための砕石・採取の場であったと推定されています。切り取った石と、切り取る前の塊りが見られる貴重な遺構だと思いました。確かに付近一帯にはおびただしい石片がゴロゴロ転がっています。井戸の址もあるようです。こちらは東峰に祀られている東峰・阿豆枳神社。石垣で周囲を囲んだ西峰社に対して、こちらは杭で周囲を囲っているのが面白く感じました。そしていよいよ東峰の頂上へ・・、ん?・・なんだアレは!ココハ、ニホンデスカ(;゚Д゚)?「ビルマの竪琴」でお見かけしたような・・。この遺構はどうもかつてこの辺りに住んでいた宗教団体の信者が組み上げたものらしいです。ミャンマーなどに見られる様式の仏塔、『パゴダ』と呼ばれる施設だそうです。それにしても南北朝期の城郭にさすがにこれはない、と思いつつ見とれてしまうのであります。中には石仏も祀られ非常に丁寧な造りとなっていますね。もともとあった石塁を破壊して造ったものか、新たに切り出して造ったものかはわかりません。しかし現在となってはこれがシンボリックな遺構となってしまっているのも事実。これも小豆島の後世歴史の史跡、ということになっていくのでしょう。(今更壊せないしね)何故か引き付けられるものがあり、ずっと見てられる(´∀`;)。東峰頂上からの眺望は淡路方面を向いています(この日は見えませんが)東峰にも西峰同様の立地条件で居館部が存在しています。デジャブか、と思わせるほど西峰居館と規模や条件が重なっています。こちらの平坦部も頂上削平地との間に切岸がかけられています。お互いの居館部同士で何らかの交信方法もあったようですね。東峰の特徴は「烽火台」の存在が指摘されていることです。風除けを伴った造りになっていて現在で直径2mほどの火起こし穴が確認されます。主に小豆島東部の集落全体に連絡に使用されたと考えれられています。またここから西峰へ信号を送ることも可能でしょうし、その先の皇踏山へも伝達が可能かと。熊野水軍方面との相互連絡にもこれ以上ない適地だと思われました。東峰は最高峰という理由で主郭と捉えられる傾向があります。しかし防御遺構が整っているのは断然西峰のほう。それに対して東峰は見張り台的な役目が強いように感じました。東峰は全体的に傾斜を伴っており、普請面からいってもやはり主郭は西側にあるのでは?そう感じた自分の感想でした。いずれにしても広大な城域であることは間違いありません。ま、しかしこの「パゴダ」のような後世の石組み遺構があったりもして惑わされます。それにしてもここからの軍事的視点での眺望は最高です。ここまでの道のりの苦労が報われ、その得られた収穫に大満足です。このまま夜をここで明かしたい気分になりました。・・あ!そうか!そうか、そうしたらこの夜空に沢山のお星さまがぶら下がるんだろうな~。だから「星ケ城」なのかな?それとも烽火台の灯が北極星のように煌々と光って見えたのかな?いろいろな妄想を抱きながら下山です。次の城、皇踏山城へ向かうのでありました。いろいろ自分流にアプローチしましたが、麓からドライブウェイもついてます、ハイ。小豆島ブルーラインを星ケ城園地の駐車場から行けば容易に見学できます。そこから寒霞渓への見学と足を運べば、より一層楽しめることと思います。 close

讃岐小豆島 星ケ城  西峰と東峰から成る素晴らしい眺望の山城
サイト名 久太郎の戦国城めぐり
タグ 小豆島の城めぐり
投稿日時 2022-09-25 01:40:03

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