(鉢形城のつづきです)北条氏邦の居城。今回は戦闘とは直接関係ない部分を。大手から城内へ入ると、左手(西側)が三の丸(三の曲輪)。そしてその奥には、復元された立派な門が見えます。＜四脚門＞こういうのも、しっかりとした発掘調査の結果（柱穴など）から想定して再現しているわけですよね。つ…… more まり専門家の調査と研究の成果。ありがたいです。また、向かって左手、曲輪を取り囲んでいる土塁とセットの構造ですね。なるほど・・・。ではこの門の中に入ります。＜伝秩父曲輪＞門の中はまた別の区画。庭園跡(復元)です。＜石積＞石積みも復元されています。全長約１００ｍ、高さは４ｍくらいでしょうか。見事です。小田原北条氏にとって、ここは本城ではなく支城(まぁ重要拠点ではありますが、、、)。その繁栄を感じずにはいられませんね。＜土塁＞石積は土塁の斜面。土塁の向う側は深い堀となっています。まぁ庭園跡ですが、立派な曲輪です。＜調査の様子＞発掘調査中の写真。この調査の結果、石積内側には河原石を３～４段の階段状に積み上げていることが分っています。技巧などの側面から評価して、いわゆる「石垣」とは別のものです。＜池跡＞枯山水庭園ではなく、ホントに池を造ったんですね。勿論、当時はもっとしっかり水がはってあったことでしょう。現地の説明にもありますが、大掛かりな庭園だったようです。こういう「戦闘」とは直接関係しない空間を城内に造る。当時の関東において、北条氏の文化は最先端だったのかも知れませんね。小田原北条氏の城で、城内に池をもつ庭園が発見される例は他にもあります。まずは本拠の小田原城。江戸時代には幕府直轄の米蔵が並んでいた区画から、北条氏時代の庭園跡が発見されました。支城だと、ここ鉢形城同様に重要拠点だった八王子城。やはり庭園を備えており、池跡も確認されています。城内に防衛とは無関係の施設を設けるのは、何も北条氏に限ったことではありません。ただ、もともと城は防衛施設。戦の時だけ立て籠もる中世初期の城においては、こんな光景はあり得なかったのではないでしょうか。時代とともに城の形が変化するように、そのあり方も変わります。難攻不落と呼ばれた小田原城を筆頭に、有力な支城も急な傾斜地に築城されるなど、北条氏の城には高い技術の裏付けを感じます。財力だけでなく、具体的な建築・土木の技術、そして庭園に代表されるような文化のレベル。時代の流れと言ってしまえばそれまてでですが、それを関東でいち早く導入していた小田原北条氏。その城跡に、いかにも関東の覇者だったなこりを感じます。＜排水のなごり＞石組排水溝の復元です。表の華やかさだけでなく、こういう地味なところもしっかりとやる。水路を見ると、具体的な人の営みを感じます。[埼玉県大里郡寄居町大字鉢形] close

鉢形城 庭園のなごり