第218回:長岩城(峻険な山,断崖絶壁に残された特異な遺構)の詳細

第218回:長岩城(峻険な山,断崖絶壁に残された特異な遺構)
こにるのお城訪問記
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記事タイトル 第218回:長岩城(峻険な山,断崖絶壁に残された特異な遺構)
概要

訪問日:2017年1月長岩城は大分県中津市にあったお城です。険しい山に築かれ,非常に特異な遺構を持つことで知られ,県史跡にも指定されています。豊前国の守護であった宇都宮信房の弟である宇都宮重房が下毛郡野仲郷支配のため1198年に築城したと言われます。重房は野仲姓を名乗り,以後は野…… more 仲氏 二十二代の居城となりました。豊臣秀吉の天下が定まった頃の1588年に長岩城は黒田長政軍の後藤又兵衛が率いる大軍に攻撃されます。当主の野仲鎮兼は城に籠り戦いますが,衆寡敵せず落城滅亡し,廃城となりました。この頃,本家筋の宇都宮(城井)鎮房も黒田長政に謀殺されています。この断崖絶壁の山城は複数で登った方が安全。今回は同じくお城のブログを書いているあきおう氏と登りました。彼が書いているブログは「城めぐりチャンネル」とい名でお城ブログの世界では常に上位にランキングされる優れものです。長岩城訪問記ではお互いの写真をシェアしております。  【左】近年,この城好きのための城にも駐車場が整備されたようです。写真を見たらわかると思うのですが,昨日降り続いた雨が数時間前まで残っていたため,山城を登るにはあまり良いコンディションとは言えません。【右】背後の山並みが長岩城が築かれた 標高530m 比高230mの扇山にて雨上がりで厳しい攻城が予想されました。しかし,ここまで来たら引き下がるわけにはいきません。麓にある案内板ですが,整備の時に新調したのか綺麗な感じです。(拡大してみて下さい)なべもと谷に沿って一之城戸から三之城戸までの関門があり,その先で右手が本丸方面,左手が陣屋や石積櫓,砲座等がある方面に分岐します。  【左】獣除けのフェンスを開け,川を渡ります。【右】いよいよ,最恐山城に挑みます。  【左】少し登り右の分岐に進むと現れるのが一之城戸。扁平な石を使った石積みは独特の曲線描き本州ではお目にかかることが出来ない代物です。【右】元々の大手筋はここから一之城戸に入っていったようです。  【左】一之城戸の先を進むと右手に屋敷跡と思われる雛壇状の削平地と石垣を見ることが出来ます。【右】段々になっている様子がわかりますね。  【左】屋敷跡の上方に三日月塹壕と呼ばれる塹壕が掘られていたようですが,大分埋まっているようです。【右】二之城戸が見えてきました。  【左】二之城戸より情報に続く石塁。いうなれば登り石塁。【右】こちらは二之城戸から川を渡った対岸の石塁。こちらも曲線を描きながら登っていきます。大陸から伝わったとされる古代山城の技術を導入したかのような風景です。  【左】城域を左右に分かつなべもと谷の流れに沿って登っていきますが,途中に何度か川を渡ります。雨上がりだったので水量が多かったかもしれません。防水の靴が良いでしょう。【右】三之城戸に到着。この先は本丸方面と陣屋方面に分岐しますが,まずは本丸方面に向かいます。  【左】長く伸びる三の丸からの石塁に沿って登ります。【右】暫くすると東之台方面と西之台方面へ分岐。ぐるっと周回してきますのでどちらからでも本丸には到達しますが,個人的には登りは距離の短い東之台経由が正解かなと思います。  【左】険しい坂道を登り石塁が見えてきますと東之台です。左の土塁のような高まりの裏側は石塁になっています。【右】東之台から本丸へは延々と石塁が伸びており,この城の見どころの一つとなっています。  【左】石塁はまだまだ続きます。【右】上から見た様子。竪堀という案内は石塁に沿っている窪地を指しているのでしょうか。  【左】本丸への虎口に到着しました。【右】虎口を抜けると本丸周囲の腰曲輪です。  【左】虎口を上から見ています。【右】本丸の様子です。本丸の案内図です。本丸内には建物礎石があり,三方を腰曲輪と通路が囲んでいます。虎口は三ヶ所。  【左】案内板にある上側の虎口です。【右】西之台に向かいます。この斜面をロープを伝って下ります。  【左】途中にあった堀切。【右】特徴的な石塁に挟まれた場所を通ります。  【左】石塁に挟まれた通路のプレートには一文字堀虎口,奥は一文字土居虎口とあるのですが,もう一つ機能がわかりませんでした。石塁の切れ目が虎口になっているのか?だとすれば城道があったことになるのですが。【右】西之台に到着。土塁か櫓台のような高まりが見えます。  【左】西之台から先に進むとある二重堀切。【右】プレートに堀切とありますが,要するに竪堀を下っていきます。  【左】水と一文字の案内ですが,この辺りは水源になったようです。【右】なべもと谷に戻ってきました。谷を挟んで反対側の陣屋跡方面に向かいます。  【左】陣屋跡が見えてきました。ここまでは大した登りではありません。【右】陣屋跡の虎口の左右にも石塁が伸びています。  【左】陣屋跡やなべもの谷を見下ろすような位置にある南側の砲座。【右】こちらは陣屋跡の北側にある砲座です。ここを抜けて馬場跡に向かいます。  【左】長細い曲輪の馬場跡です。【右】馬場跡にある土塁。  【左】陣屋跡に戻ってきまして,いよいよこれからこの城でもっと厳しく険しい部分に向かうわけですが,まずは石積櫓を目指します。【右】これが名物のはしご。固定されているものの,上の方に登ると少々グラつきます。高所恐怖症の人はここで脱落する人もいることでしょう。  【左】石積櫓へはさらに短いはしごを下り,両側断崖絶壁 幅1m程度の尾根をロープを伝いながら進みます。この時点でさらに多くの脱落者が出ることでしょう。幾多の山城を経験してきた同行者のあきおうが短いはしごの手前で脱落。盟友の屍を乗り越えて私は進むことにしました。【右】石積櫓が見えてきましたよ,最後にもうひと踏ん張り岩場を登ります。  【左】非常に怖い思いをして石積櫓に辿り着きました。中に入ると少しホッとしますね。楕円型砲座とも呼ばれ確かに楕円型であります。【右】銃眼を覗く。ここから尾根筋の敵を攻撃したことでしょう。  【左】石積櫓の外観。これを撮るには断崖絶壁の外側に回り込まねばならず命がけと言えば命がけ。【右】さて,山城好き達に最も憧れと恐れを抱かせる遺構の一つである弓形砲座とは?行けるものなら行ってみたい。石積櫓への道の途中から分岐していいますが,残念ながら立入禁止の危険道。元々,危険な道がさらに崩壊して道の体を成していないと聞きます。  【左】あきおうは既に腰を抜かしていましたが,彼が気力を振り絞って私より良いカメラと腕で撮った写真がこれ。拡大すると尾根筋に弓形砲座の案内プレートが。。。しかし,実際にはこれよりまだまだ先に弓形砲座はあるようです。【右】おっと,はしごの下の案内板を良く見ると弓形砲座に関してこのように記載されています。「※弓形砲座へは,ここからの尾根つたいは大変危険です。行かないで下さい。板迫谷の林道を登り,途中の案内板に沿って行くことが出来,容易かと思います。孤高の弓形砲座へは,そちらにお廻り下さい。」何と! 容易に行けるのか!  【左】ということで,やって来ました。林道からの分岐地点。【右】案内板は整備されており迷うことは無いのですが,中々きつい登りです。こちらにも写真のような石塁があります。  【左】ロープ伝いに最後の急斜面を登るとあるのか??【右】甘かった。。左右に馬の背のようなやせ尾根が続き,案内も消えてしまい,右か左か?ひたすら,この幅1m程度の岩場の尾根を進むのか?どこが容易なのだ,あの看板?という自問自答や葛藤はさておき,またもやあきおうを置いて進むことにしました。本当に怖い,写真をまともに撮れない。  【左】しかしながら,断念。拡大してみるとわかりますが,真の頼みの綱とも言えるロープが劣化。。。断絶。。。しかも数時間前までの降雨で乾ききっていない。これは駄目です。命が大事です。勇気ある撤退。【右】無理やり望遠で撮ったこの辺りが弓形砲座かと。。。多くの城好きを魅了してやまない曲線を描く長大な石塁は必見。さらに難易度が高いこととその特異な姿でチャレンジ精神をくすぐる石積櫓や弓形砲座。個人的には石積櫓まで辿り着けば上出来。命知らずが弓形砲座に挑むこともあるでしょうが,くれぐれも注意して下さい。ロープが切れている状態であれば,勇気ある撤退をお勧めします。大きな地図で表示 お城巡り ブログランキングへ にほんブログ村FC2 Blog Ranking close

第218回:長岩城(峻険な山,断崖絶壁に残された特異な遺構)
サイト名 こにるのお城訪問記
タグ 大分県の城郭
投稿日時 2017-01-28 14:42:03

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