尾張 塔山城  限りなく城、だけど一抹の疑念の詳細

尾張 塔山城  限りなく城、だけど一抹の疑念
久太郎の戦国城めぐり
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記事タイトル 尾張 塔山城  限りなく城、だけど一抹の疑念
概要

尾張 塔山城(愛知県瀬戸市広久手町・おごりんさん)訪問日:2022年2月26日 投稿日:2022年4月6日暖かな陽気に誘われて動植物が一斉に動き出す季節がやってきました。先日は早春恒例のタケノコ堀に家族で出かけました。奥方の実家の裏山です、みんなそれぞれ得物をもって意気揚々出陣し…… more ます。 タケノコはまだ地面に顔を出していない若いものを探りあてて掘っていきます。小股で歩き、つま先で地中の僅かな突起物(タケノコの先っちょ)を感知するのです。最初はなかなか探せないのですが、慣れてくるとわかるようになります。 子供達(といっても成人ばかり)と甥っ子・姪っ子たちと大はしゃぎでした。普段は城跡探りのお目当てで登っている山ですがタケノコ探りもいいものです。ウグイスの鳴き声、気の早いカエルの鳴き声、風にそよぐササの音、「春」やな~・・。春の訪れの先取りは瀬戸市の塔山城からスタートです。塔山城最寄りの駐車場として「あいち海上の森センター」が便利です。ちなみに「海上」の森は(かいしょのもり)と読みます。自然豊かなこの森はいろいろな広域散策コースがあります。こちらの施設では海上の森の地図が配られていますので参考になるでしょう。直接山の姿は見えませんが、駐車場からはかなり近い位置にあります。センターで配布されているコース図にも五輪塔と塔山城が図示されています。但しすっげぇ小さな字ですのでよく見ないとわかりません。位置的には近いので迷うことなない、・・と思います(多分)。「おごりんさん」と呼ばれる石造の五輪塔が並ぶ小高い山があります。センターから幼児森林体験フィールド経由で登っていくと最初に表示案内ありです。室町期の五輪塔と思われ市内では最古といわれるものも含まれています。現在でも地元の方々により大切に供養されています。ここからは山口方面の視界が開けています。この山一帯が塔山城跡と伝えられています。城は森河下総守の居城であったとも伝えられ・・。「山口村古記」には城主は森河下総守が居城とし、後に大和国多武峰に移るとあります。山口川右岸から取水する「森河用水」は今も活用されているそうです。その他に、江戸時代の村絵図には「古城跡、武田信玄番持」との記述がありますが・・。武田氏との直接の関係は明らかではありません。しかしながら遺構の見方次第では否定もできず肯定もできず、といったところでしょう。それはさておき、次はここから本丸方面へ向かっていきたいと思います。五輪塔から南へ50メートル程下ったの所の上部が主郭部です。本丸に相当する曲輪はヤブですが大変よく削平されています。付近のピークが自然地形のままにあってこの曲輪はしっかり平らに仕上がっており周囲の切岸もシャープ、丁寧に造作された痕跡が窺えます。主郭部の周囲三方には小曲輪も配されています。 本丸西端には井戸跡と思われる竪穴があり、周囲が石で組まれていることが観察できます。本丸北東方面、横堀状から堀切へと続く大規模な遺構。北東尾根続きを掘り切ったもので土橋を介しています。尾根筋一帯にかけて通行の規制をかけるような堀切です。堀底から何故か道が伸びている点はやや目的が不明な遺構に感じました。堀切と隣接し本丸に付随する外枡形虎口状曲輪の土塁。本丸と堀切の間に枡形虎口を伴った曲輪を設けます。コの型に本丸へと通じているようで曲輪の周囲には若干の土塁高まりがみられます。馬出しのようにも見えるこの遺構をもっておそらく武田と結び付けているのでしょうか?本丸の北側には土橋状になった山道が通り堀切の北を通過します。折角深く掘り下げた堀切ですが・・。この土橋からやすやすと城内に侵入できてしまう不思議さよ・・。また堀切は土橋の南側を大きく画しながら北側にはなんら普請を加えない不思議さよ・・。緩やかなS字を描く土橋は山道に伴う造成道にも見えます。研究者の間ではこれが横堀の跡ではないか、という見方もあるそうです。よく観察すると主郭部の西側にも若干そのような遺構がみられます。しかし、現状からは横堀、というよりは通路もしくは山道の一部に近い印象を受けます。ここは判断が分かれる所だと思います。主郭部から五輪様曲輪へ続く道。その手前には片側(西側)だけに落とした片堀切が確認できます。でもやはり土橋を設けることでかえって遮断性は大きく失われているように感じます。それともあえて通行しやすく掘り残したものなのか・・疑問に思いました。城は集落を見据える、といったものではなく南直下の山中に延びる吉田沢沿いの通行を監視するような縄張となっているようです。三河猿投方面から物見山を通り山口方面へと降る尾根沿いルートを抑えるものでしょう。一つ一つの遺構を単体でみると城郭遺構とみて間違いないと言えそうです。しかしそれぞれの機能にはやや首を傾げたくなるような箇所もあるようです。訪れた方それぞれの感想・意見に興味が湧くところでございます。塔山城は武田氏との関連も含め今後の研究と検証・考察が待たれますね。三河方面から続く深い山中から尾張平野部にかかる境目あたりに取られた場所です。 close

尾張 塔山城  限りなく城、だけど一抹の疑念
サイト名 久太郎の戦国城めぐり
タグ 瀬戸市の城めぐり
投稿日時 2022-04-07 02:20:03

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