悲劇の功臣・護佐丸が築いた座喜味城。沖縄では珍しい戦闘特化型の城郭です。青空に白亜のアーチ門が美しく映え、沖縄世界遺産にも選ばれています。 続日本100名城 満足度：★★★★★   歴史 1416年に読谷山按司・護佐丸は中山・尚巴志の今帰仁城攻めに参戦し、北山滅亡後に北山守護職に…… more つきました。同時に、尚巴志は護佐丸に築城を命じ、1420年に完成したのが座喜味城です。築城にあたっては、4キロ離れた元居城・山田グスクから石材を運んだとも伝えられています。 約20年間、護佐丸はこの地を治めましたが、勢力を伸ばす勝連按司の牽制のため、1440年に中城に移り、座喜味城は廃城となりました。 その後、太平洋戦争中は日本軍の高射砲陣地、戦後は米軍のミサイルのレーダー基地が置かれ、その際に城郭の一部が破壊されました。沖縄返還後に発掘調査と復元が行われ、2000年に世界文化遺産に登録されました。   交通アクセス 行きやすさ：★★★★★ 那覇バスターミナルから、沖縄バス29番 読谷線（喜名）に乗って、｢座喜味｣下車。乗車時間75分、バス停から城入口まで徒歩10分。 ただ、本数が1日5,6本しかないので、往復とも乗るのは困難です。 沖縄バス28番 読谷線（楚辺）だと「座喜味」は通らないので、「高志保入口」で下車、徒歩20分。こちらは1時間に1～3本はあるので、バスの本数的には便利です。   城への道 座喜味バス停 最寄りのバス停は「座喜味」ですが、バスの本数が少ないのが難点です。歩く距離は伸びますが、「高志保入口」のバス停も使わざるを得ないですね。   坂道 500メートルほど坂道を上っていきます。以前来た時は車で来たので気づきませんでしたが、こうやって歩くと山城ですね。 石敢當 沖縄らしいね。石敢當とシーサーは実際よく見かけます。   世界遺産の碑 「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として、2000年に世界文化遺産に登録されました。   城入口 ここまでバス停から10分。いい運動になりました。ここから100メートル歩けば座喜味城に到着します。沿道には、沖縄では珍しい松の木が植えてありました。   城歩き 縄張図 面積はさほど広くなく、一の郭の南側に二の郭が取り付くシンプルな縄張りです。ただ、城壁が連続的に張り出されており、防御を強く意識しているのが見て取れます。 二の郭の石垣とアーチ門 丘の上に唐突に現れる座喜味城。うねるような曲線の城壁とアーチ門が沖縄に来たことを感じさせてくれます。   二の郭城壁 向かって右側の城壁が迫り出しており、門へ攻め込む敵に横矢をかけられる縄張りとなっています。   二の郭アーチ門 二の郭アーチ門は現存であり、沖縄最古のアーチ門と言われています。護佐丸の築城時に突然登場しているのか謎です。座喜味城のアーチ門は、2枚の天板の中央に楔岩が打ち込まれているのが特徴です。   一の郭の石垣とアーチ門 二の郭内はさほど広くなく、一の郭の石垣とアーチ門すぐ見えます。今度は向かって左側の城壁が張り出しており、横矢をかけられるようになっています。   二の郭左手奥 二の郭の左手奥へも道があるので進んでみましょう。先は見通せませんが、緩やかな下りになっています。   二の郭の奥 なんと行き止まりでした。実は巧妙な罠であり、この道を進んだ敵は袋小路に追い込まれてしまいます。全滅あるのみ。   一の郭アーチ門 再び戻って、アーチ門から一の郭に入ります。こちらの門は復元されており、階段は日本軍が埋めてスロープに、門は米軍のレーダー基地設置の際に取り壊されました。上半分が布積み、下半分が野面積みと石垣の積み方が違いますね。   二の郭 一の郭の東には建物跡があり、瓦が出土しないことから板葺きの建物だったと推定されています。   城壁への階段 階段を使って城壁に上ることが出来ます。登り口に柵があるのは、強風時（台風）に鍵をかけて立入禁止にするため。実際この日も風が強かったです。   城壁 城壁の上は歩くことができ、守備側は効率よく兵を移動させることが出来ます。現在は残っていませんが、城壁上の兵が身を守る胸壁もありました。 一の郭内部 生活に不可欠な井戸や御嶽が無いことから、護佐丸は通常はこの城に住んでいなかったと考えられます。非常用の砦ですね。   古写真（沖縄県公文書館所蔵）と現在 1957年に撮影された写真と現在の姿を並べてみました。当時はめっちゃ荒れていますね。日頃整備をしてくれている方々に感謝！   感想 本当に日本離れした西洋の遺跡のような城跡でした。城内もきちんと整備されていて、とても見学しやすかったです。最大の問題は交通アクセスの不便さかな。帰りのバスは渋滞に巻き込まれて2時間かかりました。ぎゃふん。   close

座喜味城（沖縄県読谷村） 2020年12月 登城