美濃 大森城 主郭部を囲う厚い土塁遮断工法の詳細

美濃 大森城 主郭部を囲う厚い土塁遮断工法
久太郎の戦国城めぐり
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記事タイトル 美濃 大森城 主郭部を囲う厚い土塁遮断工法
概要

美濃 大森城 (岐阜県可児市大森) <市指定史跡>岐阜県の可児市周辺には実に様々な中世城郭が点在しています。森氏ゆかりの金山城をはじめ明智氏ゆかりとされる明智城。前回の記事でご紹介した久々利城や今城といった技あり城郭・・。生駒氏ゆかりの土田城に古式ゆかしい室原城、謎めいた吹ヶ洞砦…… more ・・それぞれ個性的にして歴史背景も持ち合わせています。羨ましいほどの城の密集地域に黄昏ジェラシー(2007 岩崎宏美さん)。そして今回の大森城も可児市を、否、美濃を代表する名城といってもいいと思います。相対する吹ヶ洞砦より見下ろした大森城は鏡餅のような形。平山城としては岐阜県下では最大級の規模といえます。またその技巧的な縄張りは山城ファンでなくとも一見の価値がある城といえましょう。これは決して地元びいきではなくいろんな城をみてきた個人的な意見でもあります。大森神社の鳥居脇に可児市御用達石碑があります。自家用車でしたら神社の駐車場をお借りできます。山城サミット以降たくさんののぼり旗もたなびいています。城址石碑の脇にはパンフレットがあり縄張り図もご用意してありました。ありがとうございます!大森神社の裏山一帯が城址にあたります。こちらには大森城と向かいの吹ヶ洞砦の縄張り図と説明書きが記されます。主郭部を取り巻く土塁と横堀。城域に足を踏み込むと先ず目に入っているのは曲輪下をとりまく横堀と土塁。主郭部東部に巡る顕著な防備遺構です。写真では下草が多く巧く撮影できませんでしたが、くっきりしたラインが取り巻きます。主郭部から見下ろした横堀ライン。横堀から見上げる主郭部の曲輪と高低差を持たせた切岸。横堀との落差は約8メートル近くあってかなり意識した普請を感じさせます。見上げるほどの落差は頼みの広角レンズにも収まりません。(単なる撮影センス不足ともいう)この状況は主郭西も同様。土塁でガッチリ囲んでいる様子が見学できます。土塁で囲まれた北曲輪。主郭部は主に3つの曲輪(北・中央・南)を中心部としています。それに北虎口曲輪・南土塁曲輪を備えた計5曲輪で成り立っています。口で説明するより図面見たのほうが早いので下図に添付しました。 大森城の見取り縄張り図。少しだけ陰影をつけて見易くしてみました。かえって見づらい?・・確かにそうかもしれません(ノ_<)。でもこのほうが主郭部を横堀・土塁が取り巻く様子がわかると思いまして・・頑張ったわりには効果薄・・(悲)。主郭中央曲輪の様子。昭和48年には主郭から炉跡や焼米、甕鉢や壺破片、天目茶碗片などが出土。これらの物証より戦火により落城という伝えも裏付けできそうです。大森城は永禄年間(1558〜1570)に奥村又八郎元信によって築かれたといわれます。奥山又八郎は久々利城主久々利土岐三河守の家老・奥山元信の子だといわれます。森氏の金山城入赴以降、又八郎は森長可に仕えていました。 しかし又八郎は長可による久々利悪五郎の謀殺等、長可を恨むことがありました。同じく所領を巡って長可とは険悪の米田城主・肥田玄蕃と密かに反旗を企てます。しかしこの計画は内通者が出て発覚、天正10年(1582)森長可は大森城を攻め落とします。又八郎は城に火を放って脱出、知己である越前・加賀の前田家に亡命したといいます。鬼武蔵・長可によるこういったカウンター、王手飛車取りは信長譲りの迅速さがありますね。中央曲輪と南曲輪を土橋で繋ぐ堀切。南曲輪の土塁はL字型になっており、堀切を備えて南土塁曲輪と連結。転じてこちらは北曲輪と連結する桝形虎口を有する曲輪。横堀の堀底からは上部主郭曲輪へと連絡できる箇所もみられます。後世にできた連絡ルートとも思えます。しかし3つの曲輪に長く延びた途中箇所からも連絡ルートはあったと思われます。このことは堀底が連絡道も兼ねていたことを示しているようです。最南端の南土塁曲輪。土塁の幅が一番分厚いです。石碑が立っています。尾根筋を大きく堀切って城域をはっきりと画しているようです。さて全体的にみるとかなりコンパクトな上に無駄のない防塁城郭となっていますね。曲輪間の連絡導線もかなりしっかりしていています。桝形虎口を重ね備える等の高度な技術もみられ、在地の奧村氏単独の成せる技ではなさそうです。谷と丘が幾重にも連なる大森の地。何故ここにこれだけの規模の大城郭が築造されたのか?お向かいの吹ヶ洞砦との関連は?金山城との関係は?まだまだ隠された謎も多い大森城ですが次回予定の吹ヶ洞砦でも少し取り上げたいと思います。・・それにしても久々利城とは対照的に今でもヤブ山となっている大森城(2021.5月現在)。でもこれでいいと思います!ここではひっそりと佇む古城の雰囲気をじっくり味わえるからです。城山の東麓にある大森神社から道が通じています。南から回り込むように見学するといいと思います。見学はやはり冬がおススメの大森城でした。(遺構も凄いが夏秋はやぶ蚊がスゴイ・・) close

美濃 大森城 主郭部を囲う厚い土塁遮断工法
サイト名 久太郎の戦国城めぐり
タグ 可児市の城めぐり
投稿日時 2021-05-07 02:20:05

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