美濃 久々利城  甦った中世山城の全貌と悪五郎の詳細

美濃 久々利城  甦った中世山城の全貌と悪五郎
久太郎の戦国城めぐり
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記事タイトル 美濃 久々利城  甦った中世山城の全貌と悪五郎
概要

美濃 久々利城 (岐阜県可児市久々利・城山)(突然ですが)自分の初めての山城散策は今回の記事の可児市の久々利城でした。まだ高校2年生だった頃、小学校からの同級生とママチャリ自転車で行ったものです。その頃は現在のように整備もほとんどされていないガサガサの山でした。盗んだバイクで走り…… more だしたような(実際は盗んでません通学チャリです)開放感。普段の日常を過ごす街を抜け出すワクワク感もあって興奮したものです。その同級生とはあまり会えませんが今でも悪友の一人です。そんな久々利城も山城フェスタを経て見違えるような姿に生まれ変わったのも近年の話。地元の会の皆様のご苦労と企業様方の後押しもあって素晴らしい山城となっています。それでは初心を思い出して桜の久々利城に登って行きたいと思います。久々利の田園から久々利城山を眺めます。お車は麓の可児郷土歴史館の駐車場をお借りします。久々利城に関する史料や久々利城の立体模型なども展示してあります。また隣の会館では御城印やグッズも揃っています。ちなみにここは千村氏陣屋の址にもなっていて土塁が部分存となっています。道路を渡ったところに石碑が立ち入口になっています。大理石に締まった黒字で掘られた貫禄の石碑ですね。こちらは毎度お馴染み可児市の城郭シリーズの家紋入り石碑。カラフルな説明パネルで久々利城を紹介してあります。〇登城口から桝形虎口へ〇まずは石段を登って桝形虎口へと入って行きます。虎口の手前には各種パンフレットやスタンプも用意されていました。桝形虎口内部。頭上の曲輪から横矢攻撃をまともにくらう重要ポイント。その頭上から真下の虎口通過点を見下ろします。すごい高低差があります。桝形虎口から三の丸への連絡路を側面から。切岸も非常にシャープです。〇三ノ丸から二ノ丸へ〇三ノ丸から二ノ丸とそのさらに上の本丸を見上げます。桜バッチ綺麗ですね。このアングルは自分的にはものすごく気に入っています。三ノ丸から本丸までが美しく積み上げられ切岸の鋭さもよくわかるからです。それに桜が添えられていてなんともうっとりするような「山城の美」を感じさせます。二の丸から見上げる本丸。逆茂木感でてますね。〇本丸〇本丸からは足下の曲輪群と久々利の穀倉地帯が見渡せます。本丸より二ノ丸、三の丸を見下ろしたところです。本丸より東側の曲輪群もかなり整備されました。ちょうど可児市の平野部から土岐市へ抜ける山地間を押さえる場所です。本丸と行っても最高所ではありません。背後には見張り郭という曲輪が存在します。厚めの土塁天端といった感じの見張り郭。実にワイドに城郭内全体をも見渡せる高台となっています。〇二重堀切へ〇見張り郭から見下ろした二重堀切は猛烈な高低差で遮断しています。ほぼ垂直に掻き掘られた様子がわかります。二重堀切の内側堀。中継地土塁を挟んで外側の堀切。二重堀切の中間には向こう側が見えないくらいの土塁が立ち塞がる。緊張感に満ちた虎口プランと大規模な切岸の様子が余すところなく見学できました。なお、久々利城は谷を挟んで西の尾根にも城郭が築かれています。こちらの整備も東禅寺道として徐々に進められていますのでまた楽しみですね。西出丸曲輪群を加えると相当規模になる久々利城の全体図。久々利氏による築城当初からの広大な曲輪群配置も素晴らしいのですが、戦国期後半に導入された横矢掛けと桝形虎口、横堀などの強化構造も見所です。西城郭群にも足を入れて踏査してみました。(未整備と結構なヤブとなっています)これらの遺構は時代ごとに段階を経て出来上がった姿なのだと考えられます。久々利氏と森氏の中間層にもいずれかによる改修が入っている可能性もあるでしょう。(横堀と竪堀の組み合わせは東濃地方における武田氏統治の城にも共通します)さて、その久々利城は土岐康貞によって築かれた伝わります。 康貞は美濃国守護土岐氏の一族で三河守「悪五郎」と称しました。その子行春の時より久々利氏を名乗り代々「悪五郎」を名乗っていたようです。この場合「悪」と行っても本当に根っからの悪人だったわけではありません。「悪」や「鬼」が付く名の裏には剛の者、器量人という意味でも呼ばれていました。逆をいえば清濁を併せ持つしたたかな人物として怖れられ、また親しまれた呼称です。家臣領民からみればむしろ頼みに足りる「お館様」だったのでしょう。永禄8年(1565)東美濃を手中にした織田信長は金山城主として森可成を置きます。以後久々利氏は森氏の支配下におかれたと思われます。本能寺の変ではその戦死者の中に久々利亀(亀丸?)という小姓の名もみられます。その後天正11年(1583)森長可は悪五郎を金山城へ招き酒宴を催しました。そして久々利城への帰路の際に悪五郎を討ち果たし久々利城を奪います。こうなると鬼武蔵さん、いよいよ本性剥き出し、一体「悪」はどっちでしょう??クリアファイルと御城印3パターンで千円。・・ちと高い気がしますが(^_^;)協力金として。(さすがは悪五郎の気質・・)戦国城郭の見学理想的モデルとしてかなり大胆に整備された久々利城。半面、遺構の維持を手助けしてくれる木々も必要以上に伐採されてしまったようにも感じます。今後の現状維持には困難も生じる心配もありますがそれが杞憂であることを願っています。 何度来ても飽きない素晴らしい山城。身近にあることをいつも誇りに思います。 close

美濃 久々利城  甦った中世山城の全貌と悪五郎
サイト名 久太郎の戦国城めぐり
タグ 可児市の城めぐり
投稿日時 2021-04-27 01:00:15

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