大坂城 豊臣期石垣発掘現場 公開イベント [2021.2]の詳細

大坂城 豊臣期石垣発掘現場 公開イベント [2021.2]
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記事タイトル 大坂城 豊臣期石垣発掘現場 公開イベント [2021.2]
概要

特別史跡大坂城跡で現在整備が進んでいる、豊臣期大坂城の詰の丸石垣を展示する「大坂城豊臣石垣公開プロジェクト」。大天守と旧第四師団司令部の間にある金蔵の奥で発見された「詰の丸東南出隅角石垣」の展示施設建設に先立って全面的な発掘調査が行われ、その様子が市民に公開された。以降は早速建設…… more が始まるとのことで、上から石垣が見られるラストチャンスとなる公開イベントに参加してきました。 なお、イベント当時はSNS等ネット投稿NGと言われていたが、イベント終了後は特に制限なく自由に公開OKと確認が取れています。 <基本データ>●名称:大坂城 豊臣期石垣発掘現場●所在:大阪市中央区大坂城1 (地図)●城主:豊臣秀吉 / 豊臣秀頼●築城:天正11年(1583年)〜●遺構:詰ノ丸東南出隅角石垣●時間:10分●情報:豊臣石垣公開プロジェクト 訪問時期:2021年2月大坂城 訪問記はこちら。 大坂城 豊臣期石垣発掘現場 <訪問記> コロナ禍でのイベント開催ということで、普段は現地先着順に参加できた発掘現場イベントも、事前申し込み&抽選制。当選したのは2月19日の金曜日の朝の回ということで、仕事を休んで大坂城へ。ぜいたく! 天気はこのとおり。旅行者も殆ど居ない平日朝ということもあり、普段は人の多い桜門もこのとおり。旧第四師団司令部を越えて、金蔵を曲がる。白い壁で覆われた場所が発掘現場だ。受付を済ませ、中へ。コロナ禍ということもあり入場制限がされている。中に10人ほどが入り見学中。次の順番を待つ。私たちの後ろには誰もおらず、貸し切りで入れそうだ。ちなみに石垣は地下にあるので、建物も高さは平屋(隣の金蔵とほぼ同じ高さ)、この地下に7mほどの部屋ができ、そこから石垣を見上げるスタイルになるという。参考:公開施設の完成予想図サイト(豊臣石垣公開プロジェクトサイト)。いよいよ順番が回ってきて、中へ。すでに建物を建てるための鉄骨が組まれている。あちこちから見られるのではなく、向かって右奥の、スタッフの方がおられるところあたりからのみの見学のようだ。おお、鉄骨の合間から、詰の丸の高石垣が見えてきた!思ったより高い、大きい!そして、黒くない!写真で見ると、石垣の前に組まれた鉄骨が邪魔してあまり石垣が見えないが、現地で幻の豊臣期高石垣を目の前にすると、鉄骨が目に入らず高石垣がしっかり見える気がした。人間の目(脳)はよくできている!少しずつ歩きながら角度を変えて、石垣を見ていく。天正期に築かれた古い野面積みだが、隅部には立方体の巨石を算木積みを構成するように積み上げられている。当時最高の権力者の元に最高の技術者たちが集まり、金に糸目をつけずこだわり抜いて造り上げた最強の城だった。ズームで見てみよう。なかなかの急角度で積み上げられている。野面積みの石材の隙間には間詰石がきっちりと詰められている。発掘現場には、大阪市から委託を受けて発掘作業を行った会社より担当者の方がおられたので貴重な話を伺うこともできた。間詰石も崩れたり落ちたりしないよう、めちゃくちゃ細心の注意を払いながら7mもの石垣を掘り出したそうだ。地面にはボコボコと穴が空いている。建物跡の礎石または柱の跡だろうか。石垣が築かれている曲輪は「中ノ段帯曲輪」と呼ばれる、天守のあった本丸部の周囲を取り巻くように築かれていた帯曲輪だ。 それにしても豊臣大坂城はご存知大坂夏の陣で炎上した。このあたりにあった櫓や館も全焼したと思われ、焼けた木造建築が石垣に倒れ込み、石垣も焼けて割れて黒くなっているものと思っていた(江戸城ではそれが顕著に見られる)が、真っ白で焼けてもいない石垣にビックリ。この角石垣付近ではたまたま火事は起きなかったということなのだろう。石垣ぎりぎりに鉄骨の柱が何本も建てられているが、建物の完成予想図を見ると石垣の前には特に柱も壁も無いようなので、今だけのものだろう。ヨカッタ。石垣が最もきれいに全体が見える角度から。ただし鉄骨除く。石垣の上部は天守や本丸御殿があった「詰の丸」の東南隅にあたり、古絵図によるとこの上には櫓が描かれている。上部は流石に崩されていたのか、ガタガタになっている。角石垣は算木積みだが、角が落ちた丸っこい石が用いられていたり、直方体の短辺横に位置する算木積みの支えにあたる角脇石にあたる場所にも小さな石が詰め込まれていたりと、技術が確立する前の過渡期な様相が見て取れる。400年近くも埋められていた、まさに秀吉の石垣。秀吉の居城は近江長浜城、大坂城、聚楽第、伏見城などがあるが、いずれも建物はおろか石垣すらまともに残っておらず、まさに秀吉が自らこだわり築かせた現存する唯一の石垣とも言える。唐入り(朝鮮出兵)に際して築かれた肥前名護屋城や、小田原の北条氏攻めで築いた石垣山城にも、居城ではないが秀吉ワンオーナーの当時の石垣が良好に残る。それらの石垣と見比べるのも面白い。野面積みとはいえ完全に自然石ではなく、割ったり削ったりしてそれなりに表面が平らになるように加工されている。このあたりは地上にガイダンス設備が作られるあたりだろうか。なお奥に下に降りる階段が見えるが、見学会では降りれなかった。残念!発掘現場に何気なく置かれていた石。先程の石垣から落ちていた石だろうか。きれいな矢穴跡があった。巨大な岩盤から石材を切り出した跡。発掘現場の入場は約10分で次の人達との交代となる。せっかく大坂城に来たので、久しぶりに大天守へ上がって展示を見てみよう。大坂城の展示はジオラマやパネル展示、動画に加え、貴重な古文書や具足などがテーマごとに展示され、とても見応えがある。訪問時はちょうど大河ドラマ「麒麟がくる」が終わった頃で、企画展示「織田から羽柴へ~麒麟は行っちゃった~」を実施していた。天守台の手前にある小天守台。小なのにこの大きさ。小天守台の上には金明水と呼ばれる井戸がある。普段は人でごった返している大坂城天守前だが、コロナ時代の平日朝はこのとおり。この後軽い気持ちで大天守へ入ったら展示が面白すぎて4時間ほど過ごす。そして15時ごろに心地よい疲労とともに大天守を出ると、嘘のようなこの快晴! 先程の豊臣期石垣を今見に行ったら、鉄骨が影になって石垣に写り込んで見づらそうだ。ほとんど人が居ない大坂城公園。豊臣石垣公開施設がオープンする頃には、コロナも収まり、また大勢の歴史ファンが訪れる場所になりますように。 訪問時期:2021年2月撮影機器:FUJIFILM X-T20 + XF10-24mm ページの一番上に戻る close

大坂城 豊臣期石垣発掘現場 公開イベント [2021.2]
サイト名 城めぐりチャンネル
タグ お城 日本100名城 発掘調査
投稿日時 2021-04-23 14:40:03

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