信濃松本 埴原城  竪堀のラビリンスの詳細

信濃松本 埴原城  竪堀のラビリンス
久太郎の戦国城めぐり
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記事タイトル 信濃松本 埴原城  竪堀のラビリンス
概要

信濃松本 埴原城 (長野県松本市中山埴原) <県指定史跡>< 小笠原氏城館を訪ねて その③ >副題に小笠原城館を訪ねて・・などとシリーズ化してしまっていますが・・。本来ならばダイジェスト速報版とするべき薄~い内容です。しかし持ち前の?生真面目な性格が「丁寧に丁寧に」とささやきます…… more (;^ω^)。然してズザザーと読み飛ばしていただいても寧ろ本望かというもの。「竪堀のラビリンス」などと大袈裟な題目ですが・・。河合その子さんの「再会のラビリンス」を聴きながらピーンときただけでして・・。・・さて、第3回目の小笠原城郭・埴原城は「はいばらじょう」と読みます。ヒマワリ揺れる太陽の下、埴原城の城山を眺めます。訪問したこの日は折しも松本市中山地区の町内清掃日。麓で出会ったおかあちゃん風の方と少しお話しをする機会がありました。地元では「御城山(オンジョウヤマ)」と呼んでいるそうです。・・へぇ~。県道63号線沿いに入口の石碑がありわかり易かったです。同じ場所に立つ説明版。字が小さすぎて画像では読めませんね(-_-;)埴原城に関する史料はよくわかっていません。口伝では埴原氏による築城と考えられています。後に村井氏の経営を経て信濃守護・小笠原氏に糾合され要害として改修されたようです。 車は蓮華寺さんの駐車場をお借りします。案内マップが用意されています。(ありがとうございます!)城址碑マニアを唸らせる板状碑。ありそうで無いのですよ。獣対策のフェンスが取り巻かれています。開けたら閉める!ルールです。しかし近年の状況は、シカやイノシシだけでなくマナーのない進入者も阻んでいます。すなわち、マウンテンバイクでの走行行為の禁止、動植物の無断採取など・・。史跡であり、保護されるべき区内であるということを認識したいものです。水の手の湧き水「伝・お姫様の化粧水」を備えていたようです。どの尾根から登っても二重連続堀切に阻まれます。整備されたルート通りに登っていくだけでも何条もの堀切を横断します。時間があれば「七支の尾根砦」と呼ばれる尾根も辿ってみるといいですね。三重連続堀切の尾根も結構ありました。もう驚くばかりです。高度が増すごとに断続的に石垣が現れます。やはりここでも高さが1メートル前後の石垣が多いようです。二段・三段と雛壇状に積まれている点は桐原城と類似しています。この点、小笠原流の一つ、石垣手法の共通点が合致してくると思います。桐原城・山家城などとほぼ同一規格の腰巻石垣。主郭南側・虎口東側に並ぶ層々たる石垣が圧巻です。中世信濃城郭の石垣遺構としてはやはり特記すべき石垣遺構だと思います。その積み方もこの地方特有の平石積み。絶妙なバランスを出しています。よ~く観察すると大きな皿状に石垣を組んでいるのがわかります(表現が難しい・・)。崩れずに形状を保っているのはこの辺りに秘訣があるようです。実際長野中南部は度々の強い地震を経験しているのです。揺れによる衝撃をうまく逃がす構造があるのでしょう。大土塁を備えた主郭部に到着します。東西に長い広々とした空間のある主郭部。背後の大土塁。これも小笠原氏築城の共通項ですね。主郭部からは北方面に松本市街地がチラ見できました。主郭部の奥、東側にも大きな曲輪と土塁を備えた一段高い曲輪があります。背後には・・驚くほど大きな堀切がそびえるのです。深さ、という表現でいいのでしょうか?おそらく20メートルほどの大堀切です。広角レンズにも収まらない堀切ってなかなかお目にかかれませんって。驚いたのはその周辺に目をやった時です・・。なかなか写真で伝えるのが難しい畝竪堀ですが、挑戦してみました。何でしょう?・・なにか山の中で「津波」に襲われているような・・。そんな衝撃的な遺構ともいえる畝状竪堀が待ち構えていたんです。しかも400年以上経過した現在でもかなりの高さで残っています。連続的に配された竪堀が縦横無尽に張りめぐっています。山城遺構の中で竪堀というのは特に痛みやすい箇所です。長年の経年で土砂が落ち堀底は堆積物に埋まっていくからです。往時の雄姿が推し量れる、といった遺構は意外と少ないのです。・・しかしこの畝竪堀は当時の様子を伝えるに充分な貴重な遺構だといえます。深さが2メートル弱の堀底道も随所にあります。人の高さでは土塁の向こう側が見えず、しかも複雑に交差と折れを交えています。ここに柵や塀、逆茂木や杭を打たれたら・・思わずゾッとしてきました。どこをどう通っているのやら・・。竪堀の中で迷宮[ラビリンス]を彷徨う・・そんな気分に陥りましたよ。連続堀切に石垣、大土塁に大堀切、畝竪堀・・城内外に極めて周到に設置された遺構が満載です。優れた計画性のもとに設計された城であることがわかります。「いい城というのはいつ誰に築かれたのかわからないもの」先輩の捨てセリフが頭をよぎったものです。現在の遺構は天正10年(1583)の天正壬午の乱にあっての改修姿だと伝わります。松本平を回復した小笠原貞慶によって一足的に築かれたと考えられています。それでは恒例のお気に入りの一枚でシメとさせていただきます。久し振りに出会ったオオムラサキが美味しそうに樹液舐めてました。蓮華寺さんの駐車場をお借りして境内の西の道沿いを辿ると登城道に至ります。駐車場のポストには登城マップが説明とともに図示されているので手に取って登るといいと思います。 close

信濃松本 埴原城  竪堀のラビリンス
サイト名 久太郎の戦国城めぐり
タグ 信濃の城めぐり
投稿日時 2020-11-18 00:40:27

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