美濃 尾壺山城  広大な未整形空間と深い堀切の詳細

美濃 尾壺山城  広大な未整形空間と深い堀切
久太郎の戦国城めぐり
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記事タイトル 美濃 尾壺山城  広大な未整形空間と深い堀切
概要

美濃 尾壺山城 (岐阜県郡上市中坪尾崎・尾壺山)整備登山道がない山城、登山口や尾根道さえ見当たらない山城。う~ん・・、困った・・何処から登ればいいの??折角お目当ての城の麓まで来たのに指を加えて呆然とする・・。皆んさんにもこのような体験談はあるのではないでしょうか。一番良い方法は…… more 、やはり地元の方に教えて頂くことでしょう。すると、あらら・・、意外とわかりやすい指示をいただくことができます。しかし朝一番で聞く人もまだ眠っていらっしゃる・・、迷惑ですよね。そんな時は意を決して秘技・斜面からの直登!を敢行することもしばしばです。意外とすぐに本来の尾根道や山道に合流できてちょっとしたショートカットに。中にはそのまま勢いで本丸まで攻め入ってしまう人もいるようです。(誰の事?)今回はそんな登城体験もありぃの郡上八幡、尾壺山城を訪問してみました。東殿山(赤谷山)から俯瞰する尾壺山城。たまには上から見る城もいいですね。尾壺山城は美濃市方面から郡上八幡市へと北上した際に必ず目にする山。西に長良川、南に吉田川、東に吉田川の支流・小駄良川に囲まれた要害です。東に郡上八幡城と相対しており、ここも戦略上では重要な位置となるでしょう。東麓の大乗寺。郡上郡内では唯一の日蓮宗寺院です。大乗寺鐘楼門の門前には城址碑が立ちます。尾壺山城は城主・来歴ともにはっきりとした記録は残っていません。美濃佐竹氏による築城説、鷲見氏築城説、遠藤氏築城説などが推定されています。遺構の土木量と規模から戦国末期の築城も有力視されています。城址碑はあるものの山頂までの登山道案内などは見当たりません。碑の横側には「大乗寺裏山に所在しました」の一文があるのみです。今回はわからないのでとりあえず大乗寺さんの裏の墓地より尾根道を辿ることに。かなり急峻な尾根道です。かつての祠への跡が導きとなってくれました。といっても小石交じりの土壌は滑りやすく勾配も急な尾根道です。時に四つん這いに近い態勢で登らなくてはならない箇所もあります。これではほぼ直登です、別にルートがあるのでしょうか?頂上手前には遺構かどうか横堀を設けた曲輪群に到達。すぐ脇には湧き水からの沢が流れています。上流部へ沢を辿ってみると水源地がありました。山頂近くにこれだけ豊富な水源地があることに驚きました。もしかするとここ一帯の遺構は水の手確保の目的かもしれません。山肌から滾々と湧き出す水量はとても貴重ですね。未整形の尾壺山城山頂部の様子。山頂部一帯は広い空間が広がっています。しかし端部を切岸で加工することもないほぼ自然地形の軟傾斜地形です。所々に僅かながら段差を加えた形跡が見られ、何かしら手は加えられているよう。さらに歩き進めていくと北の尾根伝いには大きな堀切を構えています。未整形部分に忽然と現れるその堀切に驚きとアンバランスさを感じます。歩み進むと奥にも同規模の堀切がもう一本現れ更に驚くことに・・。2本の堀切の内の南側堀切の様子。堀は尾根を長さ約50メートルにわたって遮断しています。現在の深さは3メートルほどで掻き上下られた土を上部曲輪の土塁にあてたようです。両袖が竪堀となって落とされています。堀の幅は7~8メートル。薬研堀だった形跡の堀底です。こちらは堀切からの竪堀へと続いている様子です。2本の堀切の内の奥、北側堀切の様子。こちらの堀は箱堀だった形跡の堀底です。尾壺山城の散策スケッチです。山頂部一帯の未整形がダラダラと南へ延びていますが横堀で区画してあります。この横堀から発する犬走りが周囲を囲っている範囲が主な城域だと思われます。実は郡上郡にはこうした未整形曲輪+堀切という縄張りがあちこちに存在しています。代表的な類似城郭では明宝地区の久須見城、大和地区の高冠城などで、和良村区の境城などもそれに近いと思われます。いづれも明瞭な堀切をもちながら主郭部の削平が甘かったり簡素だったりします。これらの遺構を「構築途中で中止・放棄されたか」とする見方もありますが、一時的な陣城として利用したり、敢えて簡素な普請に留めたのかもしれません。もちろん1城1城に異なった背景があったことでしょうから同列には判断できません。最低限必要な防御施設の「堀切」はしっかりと構築するのは共通点です。尾壺山城は東面に八幡城と対峙すること500メートルという距離。何かしら関係しているとみるべきかもしれません。いろいろな想像ができ探索が楽しめた城郭でした。尾壺山城への登城ルートは未整備です。以前2回の登城経験がありますが、五町地区の共同墓地から、洞泉寺の裏山からと登りいずれもはっきりとした登山道はありませんでした。どの尾根もそれなりに急峻な道となっています。示した点は大乗寺の鐘楼門前にある城址碑を示しました。城郭の遺構はその西の裏山の山頂一帯となっています。 close

美濃 尾壺山城  広大な未整形空間と深い堀切
サイト名 久太郎の戦国城めぐり
タグ 郡上市の城めぐり
投稿日時 2020-10-12 02:20:03

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