美濃 明智陣屋敷  城郭類似遺構との判断の分かれ目とはの詳細

美濃 明智陣屋敷  城郭類似遺構との判断の分かれ目とは
久太郎の戦国城めぐり
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記事タイトル 美濃 明智陣屋敷  城郭類似遺構との判断の分かれ目とは
概要

美濃 明智陣屋敷 (岐阜県恵那市明智町野志・陣屋敷)ここ何年?「梅雨」のイメージは毎年ごとに変わっています。集中豪雨に長雨、そして「防災」という心構えが必要になってきました。かつて「災害は忘れた頃にやってくる」、といったものでしたが・・。「止まない雨はない」、「日はまた昇る」・・…… more 。それが一体いつのことになるのかとしても、いつかは降り止むその雨がやがて「恵み」となってくれる、そう祈るばかりです。さて、明智町の陣屋敷を見学させていただきました。「陣屋敷」といっても平地に構えられた遺構ではありません。野志集落に向かってV字型に分かれた2本の尾根上にあります。陣屋敷を東から眺めます。尾根が2本突き出しています。前回の中切のお城と同様、県の調査書では「城郭類似遺構」に挙げられています。『明智町誌』には城郭関連地名として「陣屋敷」の記載があります。しかし、城主や来歴など伝わる口伝もほとんどない、ちょっと謎めいた遺構といえます。先ずは①の尾根から。背後は切通し林道が通っています。もしこの切通しに堀切があったものなら城郭としてみてもよさそうです。しかし道路に面した法面自体も削られているようですので何とも判断できません。ただ、見学するにはとても便利な道なので道路脇に路駐して散策できます。長い曲輪から北虎口へと至ります。写真ではよくわからないのですが、中央部から斜上にスロープ状の坂虎口となります。明智町付近の城砦陣は全体的にこのスロープ状の坂虎口が多用されています。築城に際しての一つの共通点があるようにも見受けられます。もちろん、後世、利用道として改変された可能性もあげられます。スロープは意図的に屈折させているようです。(下に図面を掲載しました)こうしたちょっとした小技に小さいながらも規模相当の仕掛けを感じます。尾根最頂部の主郭部もよく整地されています。イベントの名残りかと思われますが標柱も立っていました。これは仲深山砦にもあったものと同様の立て看板なので、なにかラリー形式のオリエンテーリングなどの催事があったのでしょうね。皆さんに広く認知されたイベントとなったならば良かったと思います。周囲には腰曲輪が設けられています。結構明確です。尾根の南には堀切と土橋からの坂虎口が確認できます。撮影している足元は若干の土塁状になっており、ここが遮断線であることが理解できます。堀切は両袖に落ち竪堀となっています。続いて②の尾根に向かいました。こちらは細尾根上に土塁と武者走りを設けたごく簡単な縄張りです。①の尾根の北側を守るような土塁主体の防塁曲輪のようにも感じました。②の尾根は南端部の長さ10メートル以上の土橋が見所です。幅が1メートルに満たない人一人が通れる馬の背土橋です。当時からの遺構なのか後世ものかは不明です。しかし尾根の通行に規制をかけるのであれば堀切よりも有効かもしれません。目隠して渡り切る自信はありません。(-_-;)②の尾根からは明知城に延びる街道が見えました。陣屋敷は明知城から見て北に2500メートルに位置しています。また鶴岡山砦とは東西に1500メートル、釜屋城からは南北に1000メートル、また山岡城砦群を経て岩村城にも至る主要道を押さえています。陣屋敷は主要城砦間の中継地点にあたる絶好の位置にあたります。特に北の釜屋城とはお互いの後背を補い合うような存在と思われ、現在でも山中に両城砦間での連絡道が確認できます。現時点では「城郭類似遺構」として振り分けられた陣屋敷。遺構の連動性やその立地条件を検討する限りでは城郭遺構かと思われます。周辺地域への通行監視と中継を重視した番所的な存在だったかと想像できましょう。しかし、大軍を置くには狭小過ぎます。「陣屋敷」の地名はその名が示す通り、永続的な施設ではない一時的な陣営地だったのかもしれません。 close

美濃 明智陣屋敷  城郭類似遺構との判断の分かれ目とは
サイト名 久太郎の戦国城めぐり
タグ 恵那市の城めぐり
投稿日時 2020-07-07 00:40:05

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