阿波海部城番外編 島弥九郎事件の詳細

阿波海部城番外編 島弥九郎事件
久太郎の戦国城めぐり
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記事タイトル 阿波海部城番外編 島弥九郎事件
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阿波 海部城<番外編>-島弥九郎事件跡を訪ねて-【海部川風流マラソンで訪れた阿波の城と史跡・その②】自分の手元には愛読本として3冊の本があります。『長宗我部』 長宗我部友親 著 (バジリコ((株) 刊)『夏草の賦 上・下』 司馬遼太郎 著 (文春文庫 刊)どちらの本も自分にとって…… more 長宗我部氏に関して大いに興味を抱かせてくれた本です。特に長宗我部元親の弟たち、香宗我部親泰、吉良親貞、そして島親益(親房)。元親の四国統一にあって弟たちの存在がなくてはならない大きな原動力となったことを感じます。海部城を訪れた後、那佐湾にやって来ました。徳島県南部、那佐湾(なさわん)。高知県の県境とも近いこの付近は陸地に囲まれ穏やかな海が広がっています。荒々しい太平洋の波もここではひっそりと静まり返っています。対岸の山頂には江戸時代、異国船監視のための乳ノ崎狼煙台もありました。島弥九郎事件跡にたつ石碑。元亀二年(1571)嵐を避けてこの湾に逃げ込み非業の死を遂げた武将がいました。土佐一国を平定した長宗我部元親の末弟・島弥九郎親益(親房とも)です。武勇に優れ本山氏攻めでも活躍した武将だったそうです。異母兄である元親の信頼も厚かったそうです。しかし病気がちで身体が弱く兄の好意で療養のため有馬温泉に向かっていました。その道中海路で嵐に遭い波静かな那佐湾へ家臣と共に停泊することになりました。 嵐を避けて湾内に停泊した弥九郎たちでしたが海部方はこれを元親の偵察或いは敵襲と誤認。停泊していた弥九郎とその家臣団を襲いこれを悉く討ち果たしてしまいました。当時、安芸国虎を破って土佐東部を平定した「元親侵攻」の噂は海部方にとって脅威でした。現地説明版に海部城の位置を加筆させて頂きました。敵襲の際、弥九郎は病床から跳ね起き真っ先に船から陸にあがります。「我弓馬の家に生まれ病床で死ぬのは無念、戦場にて命を落とすのなら本懐」「後代に名を汚すことはない、潔く討ち死にせよ」(土佐物語より略文にて)一歩も引かない勇敢な最期だったそうです。那佐湾の奥、二つの小山が浮かぶように並んでいるのが二子島(ふたごじま)です。この島で、追い詰められた弥九郎らが最期を迎えたと伝わります。後にその霊を慰めるために 村人たちによって小塚が築かれました。弥九郎の遺骸を二子島に丁重に葬った三島神社はしばらく二子島にありその後移転。弥九郎を祭ったといわれる吉野神社に参拝させていただきました。現在では旧三島神社は吉野神社に合祀されています。吉野神社境内には、現当主・長宗我部友親氏によって島弥九郎らの鎮魂碑が建立されました。現在も続く長宗我部家の源流は、当地で討たれた島弥九郎の末裔となっています。吉野神社境内、島弥九郎主従を弔う石碑。裏面には現在に至る歴代当主の名が刻まれていました。この事件はすぐさま元親の耳に入り、弟を弔う為兵を挙げ 海部城を攻略します。海部氏は長宗我部氏に滅ぼされた安芸氏と親密な関係にありました。停泊した船を長宗我部側の偵察・先手部隊と思い込んだためという説は当然だと思います。海部友光は遠征中で不在であったため、そのまま紀伊の縁者を頼って落ち延びたとも言われます。戦国の世です、海部方のとった処置もごく当然の決断であったと理解します。この一連の事件、戦国時代にあっての兄弟愛と取れるエピソードになるのでしょうか?それとも、病弱の弟を囮の如く出し阿波侵攻の口実作りを行った挑発説ととるのか?事の真相はともかくこの事件を契機として長宗我部元親は弟の弔い合戦の名目で阿波へ侵攻。各地での激戦と中富川の戦いにて阿波を手中に収めていくのでした。それは「四国の蓋」とならんとした家をあげての総力戦への突入となります。この地にて壮烈で非業の死を遂げた元親の弟・弥九郎。自分はただただその追悼の意を込めたくここを訪れたかったのです。Ⓖは島弥九郎事件跡の碑が立つ位置です。 国道55号線から湾側に脇道があります。見落とさないよう入ります。 車高の低い車だと下をこするかもしれませんので徐行してください。Ⓢは島弥九郎の供養碑が立つ吉野神社です。 ここも国道55号線から北側の脇道に入ります。神社が目印です。㋹は前回の記事で取り上げた海部城の位置です。 close

阿波海部城番外編 島弥九郎事件
サイト名 久太郎の戦国城めぐり
タグ 阿波の城めぐり
投稿日時 2020-02-23 15:20:04

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