第98景 〜若桜鬼ヶ城の詳細

第98景 〜若桜鬼ヶ城
カメも歩けば城に当たる… 城跡酔夢譚
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記事タイトル 第98景 〜若桜鬼ヶ城
概要

紅葉の季節となり、さて何処へ行こうかと考えた。そういえば米子城が続百名城に入ったり、松江城天守内の展示が変わった、とか思い出し「そうだ!山陰、行こう」となった。そして今回筆頭の目的地が、この若桜鬼ヶ城であった。「わかさ・おにがじょう」と読む。今回はその鳥取県若桜町から鬼ヶ城の巻!…… more  若狭鬼ヶ城(本丸跡)鳥取県八頭郡若狭町若狭→Map 連郭式山城 続日本百名城No.168別名:若狭城、鬼ヶ城 築城年:正治2年(1200年)  築城主:矢部暉種(あきたね)改修者:木下重賢、山崎家盛                                    (撮影日:2019年11月)若桜は中国山地の山々に囲まれながらも、播磨・但馬へ通じる街道が交わる要衝の地である。鬼ヶ城は、その街道を見下ろす鶴尾山の山頂部から尾根に曲輪を設けて築かれた山城だ。築城は鎌倉時代まで遡る。この地の国人領主だった矢部氏、その始祖矢部暉種(あきたね)が駿河からこの地(因幡国八頭郡山田村ほか20ヶ村)を得て入部して築いたと伝わる。以後、矢部氏十六代の居城であったが、天正3年(1575年)山中鹿之介に奪われ尼子氏の城となった。しかし翌年には吉川元春に攻められ毛利氏の手に移った。その後、羽柴秀吉の中国攻めで鳥取城が落ちると、配下の木下重賢が2万石で入城し、石垣や天守台を築き近世城郭へと改修する。関ヶ原の後、西軍についた木下氏は移封となり、山崎家盛が3万石で入封、若桜藩初代藩主となった。山頂部の石積みはこの時代のものだろう。さらに池田光政が鳥取城入城後、元和3年(1617年)一国一城令により鬼ヶ城は廃城となった、というのが鬼ヶ城の略歴だ。この元和の廃城の際に破城が行われ、その痕跡が色濃く残っているのが鬼ヶ城の特徴である。本丸下の石垣階段状、三段につまれた石垣。いわゆる段築構造になっている。場所と地形をGooglr Eartで見ておこう。要衝の地とはいえ、中国山地の山深い地域だ。冬季には町全体が豪雪地帯だという。                                                                           GoogleEarthより 今回は、若桜駅から全て徒歩で山頂の城跡を目指した。その登城順路に沿って見てゆこう         若桜駅 JR因美線、鳥取発7:22に乗り、3駅目の郡家(こおげ)で若桜鉄道に乗り換え。 終着駅の若桜駅に8:14到着、鳥取から52分の旅だった。駅から登山口まで徒歩10分程。鬼ヶ城が築かれた鶴尾山。 町からの比高は250mほど。登山道が2本、他に林道を通って車で頂上近くの馬場まで上がることもできる。旧若狭小学校グランドの登山口(八幡山ルート)登山ルートは2ルートあるが、今回はこちらから登ることに(山頂まで35分の表示)。しかし、途中で合流する古城ルートで本丸を目指すことにした。登山道はよく整備されているが、足元の備えは十分な準備をしておきたい。三の丸 大手門跡の石垣このルートで頂上を目指すと、まず三の丸の石垣が現れる。やはりこの瞬間は気持ちも弾む。三の丸と大手門跡の石垣(二の丸から見る)三の丸東側の大手門跡に内枡形虎口の石積みが残る。今回は登山道ルートで登ったため、最初にこの大手門跡を見ることとなった。二の丸三の丸から一段上がると二の丸、さらに本丸へと連郭式に続いている。本丸からの景色但馬街道(左)と播磨街道(右)に通じる要衝の地だったことがよく分かる。本 丸二の丸からさらに一段上がった位置に本丸がつづく。天守の礎石も残っている。本丸からの景色連綿と続く山の尾根を眺め、この山城が機能していた戦国の世を想いは駆ける。本丸の石垣隅石が崩され、崩落した石材に破城の痕跡がありありと見て取れた。六角石垣そして鬼ヶ城のもうひとつの見どころ、西尾根の先端部「六角石垣」へ。山頂部の石積みより古い時代の積み方で、ほぼ完全な形で残っているという。「何が六角なのだろう、積み方、石の形状?」 と思っていたら、これは曲輪の形が平面図で六角形ということらしい。なので「六角曲輪下の石積み」ということだろう。積み石の形状、石質ともに本丸あたりとは違っている。生い茂り紅葉した雑木に囲まれ正に埋もれた古城という佇まいに惹かれるものがあった。写真集用にも別撮りしておこう!馬 場林道を使って登るコースの場合、この馬場側から見ていくことになる。駐車スペースあり、車で上がることができる。ここから堀切など見ながら本丸を目指すと、山登りの必要もなく、お勧めのコースとなる。先に本丸下の崩落石垣に出会うことになり、破城の印象がより強く感じられるかもしれない。もちろん40分の山登りコースも決して悪くないが!!!石積みのある山城、さらに一国一城令による廃城、破城という痕跡を色濃くとどめている       「廃城をゆく6」〜石垣の城を極める             イカロス出版 鬼ヶ城については知人から情報をもらっていたのだが、この号の記事を見て登城を決めた次第である。他にも有名無名含めて魅力的な石垣の城がズラッと並んでおり石垣ファン必携の書である。ちなみに巻頭のグラビアページは「石垣百景」として、石垣のイメージ写真に拙作を数点使ってもらっている。是非、店頭で手にとってご覧ください。 ということで、最後はちょっと自己宣伝となってしまったが撮影もうまくいき、破城の跡を見るという印象深い登城となった。若桜鬼ヶ城は山城、石垣好きには必見の城である。 是非の登城をお勧めして鬼ヶ城の締めくくりとしたい。じゃぁ また。  close

第98景 〜若桜鬼ヶ城
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タグ 中国の城
投稿日時 2020-01-26 01:40:02

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