南山城 発掘調査 現地説明会 2019.9.7 [2/2]の詳細

南山城 発掘調査 現地説明会 2019.9.7 [2/2]
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記事タイトル 南山城 発掘調査 現地説明会 2019.9.7 [2/2]
概要

南山城の発掘調査に伴う現地説明会 参加レポート 其の二。 [前回までの訪問記 概要]治水のための河川付替工事で近日中に消失する予定の備中・南山城跡(岡山県倉敷市)。最後の現地説明会に参加してきました。城跡の丘陵全体が伐採・整備され、当時の構造がそのまま体感できる状態になって…… more います。まずは受付を済ませ資料を頂いてから、東側斜面より一気に直登。丸裸になった主郭に驚き、巨大な土塁や発掘された門礎石、掘立柱建物跡などが明示されていて、当時の雰囲気が容易にイメージできる。主要部の全貌とともに見どころとなっていた南斜面の畝状竪堀群へ向かいます。 訪問時期:2019年9月南山城 現地説明会レポート − 其の一、二。 <訪問記> 副郭 全景。奥の土塁の左端に階段があるがこれは見学用。主郭と副郭を隔てる土塁も折れがある。主郭と副郭を隔てる土塁は一部切断されてその断面を見ることが出来る。下半分は元々の丘陵、上半分は曲輪部分を削った際に出た土を盛っている、とのこと。土塁越しに見る主郭全体。東側半分ぐらいを占めていたようだ。では南側の斜面を降りて、先程上から見た畝状竪堀群を見に行こう。畝堀群のすぐ横に降りる道が作られており、間近に横から見ることが出来る。畝状竪堀群。このあたりは比較的浅いとのこと。南側の法面全景と、畝状竪堀群。手前の方は下半分ぐらいにしか竪堀がないが、奥の方は畝状竪堀群は計21本がかなりの長さで掘られている。見学では、その中央あたりを土のうで埋めて簡易の道を造り、移動できるようになっていた。なので眼前にある畝状竪堀は約半分ほどの長さと考えよう。腰郭の下に築かれた畝状竪堀群。一部、土のうが階段状に積まれている。畝状竪堀の上部は横堀状になっており、竪堀を登ってくる敵を上から攻撃できるようになっている。竪堀を登りきっても、上の腰郭まではこの急角度な切岸になっていて、ちょっと登れる気がしない。畝状竪堀を上から見下ろす。通路は土のうで作られた見学用のもので、本来の竪堀群はちょうど下に見える竹林あたりまで伸びていたようだ。では土のう道を通って更に奥に向かおう。この南側斜面には西から東まで計21本もの竪堀が築かれている。長さはまちまちで、例えば上に腰郭がある場所はちょっと短くなっている。このあたりの竪堀はとても短く見えるが、これは上端に近いところに土のう道が作られたため。道の下には数mの竪堀が伸びる。南西面の方へ。こちらは丈夫に腰郭がなく、竪堀も非常に長いものが作られていた。説明係の人によると、堀底は当時の深さと思われるところまで掘っており、逆に畝(凸部分)は当時は上部はもう少し高く尖っているような形状だったのではないか、とのこと。竪堀の堀底を見ると岩盤が露出するぐらいまで掘り込んでいる。右上の切り株がある凸部は、腰郭の先端部。畝部。もう少し高く、上が平らになっていない状態(畝の上を歩かれないような)だったのではないかとのこと。畝状竪堀が延々と続く!すごい光景。こちらにも、土のうで階段が作られた竪堀がある。上の黒いネットがある場所は、副郭西端の土塁。畝堀のある西側は緩斜面で防御力が低いので畝堀を作った、とあったが、下から見るとかなりの急角度。係の方からも、竪堀に入ると急角度かつ横移動の困難さを体感できますよ、とのことだった。畝状竪堀の中から横を見る。土のうがあるので、深さは20−30cmほど周囲の竪堀より高いだろうが、それでも横に移動するのは難しい。畝も本来はもう少し高いだろうし。竪堀を一番上まで登ると、土塁下の横堀に到達する。竪堀上端の堀底よりも更に低くなるように掘ってあり、雨が降ると容易に水が溜まって更に攻撃難易度が増しそうだ。そして土塁側のこの切岸。この畝状竪堀上端の横堀から、平行移動すると腰郭に到達する。土塁が少し凹んで虎口状になっている場所が入口。最後の竪堀2本分ぐらいは平地が無く移動しづらいので、係の方曰く、最後は木橋的なものが架けられていたのではないかとのこと。それを示す柱穴跡も虎口内部に見つかっている。竪堀上端から西(左)を見る。奥に更に長い竪堀が見える。あれは副郭土塁と更に西側の尾根とを豪快に分断する大堀切から続く竪堀。この先を右に曲がると、副郭土塁を見上げる大切岸にあたるのだが、土のうはここまでだったので立入りもここまで。横堀から、竪堀下を見下ろす。人が居る土のう通路は真ん中あたりで、竪堀は奥の竹林まで続いていた。土のう道に戻り、西端を見る。先程の副郭西側の大堀切から続く竪堀が大きく分断している。立ち入りはここまでのため奥は見えないが、副郭の西側はこの大堀切を含めて計3本の堀切・竪堀が築かれているという。見学できる遺構はここまで。では土のう道を戻りながら、畝状竪堀群を見返していこう。竪堀を半分ぐらいまで攻め上がってきた兵の目線。上には鉄砲や弓、石などを構えた敵がズラリと並んでいる。マンガなどで描かれる、山城攻めで竹束などを盾にしながら各竪堀を縦隊で登っていくシーンを思い出す。土のう道から下に伸びる竪堀を見下ろす。下にも土のう道がもう1本あるがあれも整備用で、本来は奥の竹林(緑が繁茂しているところ)まで一直線に伸びている。土のう道を戻ってきた。ちょうど、竪堀の上から下までが一気に見えるあたり。かなりの長さだ!しかも主郭は見切れている。畝堀の上に位置する腰郭と、更にその上の主郭。では階段を通って下山しよう。土が露出している部分は調査のため整備を続けているからで、そのエリアを抜けるとこの通り草が茂って遺構面は見えない。下からも見えた、斜面を直下する階段を通って下山。ここもよく見ると竹林からは50cmほど掘り込んであり、岩盤が露出している。当時もこういう状態だったとすると、ここを逆走して上に上がるのはほぼ無理だろう。一番下から。丘陵全体がこの状態だと上がるのは難しいので、上段に畝状竪堀群があるということは、下半分は現状と同じく木々に覆われていたのかも知れない。下山完了。最後に、受付の裏側にあった出土品展示コーナーを見ていこう。中は写真パネルとともに、出土品が周囲に展示されていた。ドローンで発掘現場全体を俯瞰撮影した映像がPCで流されていた。2018年から3期に渡って撮影されており、興味深い映像だった。これは土塁が削られているので最近の映像。出土品シリーズ。主郭部からは天目茶碗片などいろいろな土器の欠片が出土している。入念に作り込んだ縄張りからも伺えるが、遺構からも戦時の臨時拠点ではなくある程度の期間 滞在し生活していたことが伺えるという。ちなみに天目茶碗は中国宋から伝わった陶器で、鉄を含む釉薬をかけて焼いていることから黒っぽく見えるという。瓦も出土していた。瓦葺の屋根を持つ建物が建っていた証拠。宋銭も出土している。写真を撮った時には気付かなかったが、江戸時代の寛永時代に初めて日本で鋳造された寛永通宝も並んでいた。別の展示で宋銭の束が出土したとあったので、その説明の過程で銅銭の種類を展示したものだったか。刀の切羽や鉄砲玉も出土。文献には明確に残っていないようだが、ここでも戦いがあったのかも知れない。手書きの説明パネルが非常に分かりやすい! 2019年末には治水工事で失われる予定の南山城跡。ここでは今までも発掘調査の進捗に合わせて過去3回程こうした説明会が行われており、また現地での展示や説明も非常に丁寧でわかりやすく、とても有難いことだと感じました。また今回の説明会はかなり早いタイミング(数週間前)で発表され申込期間も余裕を持って行われており、参加側からすると予定を立てやすくとても良い取り組みだと感じました。他地域の説明会は2-3日前に発表されることも多く、気づいた時には終わっていたり直前だったりして参加できないこともしばしば。それについて現地の係の方に話すと、岡山地域では通常こういったスケジュール感で行っているとのことで、ぜひこれを続けていってもらいたいと思います。 訪問時期:2019年9月撮影機器:FUJIFILM X-T20 + XF10-24mm ページの一番上に戻る close

南山城 発掘調査 現地説明会 2019.9.7 [2/2]
サイト名 城めぐりチャンネル
タグ お城 発掘調査
投稿日時 2019-09-16 09:40:02

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