尾張 小幡城  遠見の角に巧手・家康ありの詳細

尾張 小幡城  遠見の角に巧手・家康あり
久太郎の戦国城めぐり
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記事タイトル 尾張 小幡城  遠見の角に巧手・家康あり
概要

尾張 小幡城 (愛知県名古屋市守山区西城2丁目一帯・城趾山)お盆も過ぎ、空高い入道雲の下、そよ風が心地いいい季節になりました。この時期はセミのオールスター大合唱が聴ける短い時期でもあります。盛夏からのクマゼミ、アブラゼミに、晩夏からのミンミンゼミ、ヒグラシ・・。そこに初秋のツクツ…… more クボウシが参加していよいよ夏は過ぎようとしています。どんなに異常気象といわれようとも季節は移り行くことを忘れません。城めぐりを通して感じとることができる季節はより一層の楽しみとなりましょう。さて、前回では龍泉寺城を訪問いたしました。今回はその龍泉寺城南東に僅か3kmと離れていない小幡城を目指します。この距離感で数刻とはいえ、睨み合った秀吉と家康の肝っ玉に感心します。麓の西城小学校グランドから見上げる、城趾山・小幡城です。上の写真の頂上の家屋やマンションが建つ辺りが本丸だったようです。標高は20メートルくらいでしょうか?それほど高くはありません。それでも尾張中央部の平野の中では高台、といってもいいでしょう。本丸一帯は月極駐車場となっており、広さは感じられます。・・まぁ、この様な状況なので遺構もなにもあったものでは無いのですが。それでも「城跡」だった、というアナウンス・認識があるとないとでは全く違います。移ろいゆく時代の中にその名を留めている、ということに意味があると思うのです。名古屋市の説明版が設置されています。(ありがとうございます(*・`ω´・)ゞ)小幡城は大永2年(1522)岡田重篤によって築かれたそうです。その後、信長の叔父・織田信光が守山城と共に城主となるも、死後は廃城となりました。後、小幡城が再び脚光を浴びることになるのは小牧長久手合戦の舞台です。微高地ながら平野部がとてもよく見渡せます。唯、東側には堀切の痕跡が道となって残っています。これはポイント高いです。さらに東側には城趾山・阿弥陀寺付近に少しの雰囲気が残っています。一瞬、城址石碑かと思ってしまいました。まぼろし~♪。天正12年(1558)小牧長久手合戦において徳川家康はこの城を修築し本多広孝に守備させます。小牧山城と三河方との連絡路を保つための重要な拠点でした。同時に守山城もおそらく若干の手が加えられたものと思われます。小幡城は庄内川と矢田川の合流地帯の高台に立地しているのが特徴です。庄内川では勝川の渡しを経由すれば小牧山城砦群とも連絡が容易。矢田川と現在の瀬戸街道筋を利用すれば三河・東濃方面にも迅速に移動できます。家康が三河中入り部隊・本隊、三好軍の背後に回るべく渡った勝川の渡し。家康にしてみればここ小幡城こそが最右翼の防衛線ともいっていいでしょう。秀吉軍による小牧山への回り込みを防ぐにも格好の位置にあり、と理解できます。秀吉の三河中入り隊、三好本隊らはこの小幡城攻略こそが主目的だったともいわれます。小幡城、堀切名残りの場所にカワイイ花。事実、小幡城は小牧長久手合戦にて攻撃・防御の両面で力を発揮します。龍泉寺城 の記事でも触れましたので参考にしていただければ、と思います。家康にしてみれば、小幡城、将棋でいうなら「角行」の如しです。少し離れた場所から相手が筋を見落としやすい意表を突きます。小牧山~長久手間にて利きが広がり、動きが封じ込まれにくく、戦局を優位に進められます。家康はその特徴を見事に見極め、対局をすすめたといえましょう。秀吉もまた小幡城の存在を大いに警戒し、三河中入り部隊本隊の攻略主目的としました。岡崎城を落とすとみせかけ、その実は岩崎城と小幡城の同時攻略と分断。そして「小牧山での家康孤立化作戦」というのが絵だったのではないでしょうか??一早くその動きを掴んだ家康、秀吉軍の戦局主導の中でまさに小幡城を「竜馬」と成します。まさに遠見の角に好手あり、ですね。(「遠見」とは離して打つことで、角の打ち方や動かし方に好手が多いという格言)次回は今回の記事を受けての「小牧長久手合戦古戦場めぐり」を再開。「両軍の長久手方面へ進軍編」を取り上げていきます。Ⓖは小幡城の説明版の位置を示します。短い時間であれば路駐車でもいいと思います。 close

尾張 小幡城  遠見の角に巧手・家康あり
サイト名 久太郎の戦国城めぐり
タグ 名古屋市の城めぐり
投稿日時 2019-08-26 01:00:01

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