山手銀山城:明瞭な畝状竪堀群や石垣が残る杉原氏の山城。の詳細

山手銀山城:明瞭な畝状竪堀群や石垣が残る杉原氏の山城。
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記事タイトル 山手銀山城:明瞭な畝状竪堀群や石垣が残る杉原氏の山城。
概要

山手銀山城は戦国期の備後国人領主・杉原氏が築いた中世山城で、畝状竪堀群や石積みなどが良好に残っていることが特徴である。杉原氏は神辺城を中心に南備後でかなりの力を持つに至ったが、天正期に毛利氏により滅ぼされてしまう。銀山城はその頃に廃止になったようだ。現地に説明板や登山口などの案内…… more は一切なく、林道から直接 斜面を上がる形の登城となる。 <基本データ> ●名称:山手銀山城 (やまてぎんざんじょう) ●所在:福山市山手町杢原 (地図) ●城主:杉原氏 ●築城:14〜15世紀? ●遺構:畝状竪堀群、石積み、虎口、土塁 訪問時期:2018年4月 <訪問記> 山手銀山城には、案内板や説明板の類が無く、ただ遺構が残るのみとなっている。かつては山麓の杉原氏菩提寺である東の三宝寺からの登城路があったとのことだが、写真の車道整備で失われてしまったとか。そのかつての登城路と車道が交わるこのあたりから、山へ入る。 赤いビニールテープがあるあたりに凹みがある。これがかつての登城路の名残か。 登城路の脇には注意の案内板があった。マウンテンバイクで城跡を壊す輩に対する注意書きだ。しかし現場に城跡を示す案内板や説明板などが無いと、ここが城跡であることはそもそもマニアしか分からないだろう。 谷筋に造られたと思われる登城路を通って山上へ。 城跡らしくなってきた。今歩いている凹部は横堀で、かつ堀底道なのかも知れない。説明板や図面が無いので分かりづらいが、登城路の左側に東曲輪群が設けられ、その奥の頂部に主郭、そしてその主郭へ向かう大手道の途中に、道を狭めるように斜面に畝状竪堀群が築かれているという。 東曲輪群は尾根上に複数の曲輪が段々に築かれている。登城路は、林道で一気に上がってきたこともあり、いきなり一番上の曲輪へと到達する。切岸と土塁で削平地を固めた曲輪だ。ちょっとだけ見に行ってみよう。 曲輪の北側に、土塁が築かれている。写真ではうっすらだが、北側からの攻撃を想定した守りを固めていた。ちなみに北は山地が続き、その奥には芦田川が流れる。同じく南備後の国人領主で、毛利氏方についていた有地氏の相方城(さがたじょう)は北西方面、神辺城は北東方面にある。 東曲輪群には石垣を持つ曲輪があるというので行ってみよう。曲輪の脇の道から斜面を尾根に沿って降りていく。道らしい道は無いので斜面のやや緩やかなところを選んでそのまま降りていく感じだ。 曲輪の外周部に築かれていた石垣の残骸。石垣は曲輪群の南側のみに存在する。かつては東曲輪群の南面一帯に築かれていたのだろうか。 東曲輪群を4段ほど降りてきた。このあたりが、いかにも段曲輪を作ったという感じで、尾根上に削平地と切岸が交互に見られる。 この角度から見ると、曲輪の段々具合が見て取れる。今居る曲輪は上から四段目にあたり、上3つの曲輪を包み込むように左側(南側)に広がっている。東曲輪群の石垣は、今降りてきた段曲輪の側面に造られているという。ここで折り返そう。 このあたりから木々の隙間があり、眺望が見られた。南東の福山方面にあたる。ややモヤっているが、芦田川の先に瀬戸内海も見える。 段曲輪の横の城道を通って尾根を上に戻っていく。 枯葉に埋もれていて見づらいが、曲輪の側面に長い石垣が造られている。 山手銀山城の東曲輪群に残る、長い石垣。なお資料によると高さ3mほどの高石垣もあるらしいのだが、現地では見付けられなかった。 右が東曲輪群で、左奥が主郭にあたる。その中央部は大きく凹んでおり、谷筋を利用し城域を左右に分断した大堀切だろう。 そして大堀切を上がって左側へ進むと、主郭への虎口へと続く。写真右奥へ伸びている道は主郭への城道、そしてその左側斜面には畝状竪堀群が築かれている。 畝状竪堀群をしっかり見てみよう。ど真ん中に巨木が生えていて、ちょっとこちら側からは見づらい。 竪堀を区画する一つの畝に登って、上から畝状竪堀を俯瞰してみる。この谷の下から攻め上がってきた敵兵は、谷の一番上でこの畝状竪堀群にぶち当たり、必然的に各堀切の中に分散させられ、上からの個別攻撃にさらされることになる。 少し斜めに見てみよう。斜面上にずらりと設けられた竪堀群。竪堀と竪堀の間にはしっかりとした畝が造られている。 下から、畝状竪堀群を見上げる。往時は竪堀は更に深く、畝は高かったことだろう。 攻め上がってくる敵兵の視点から。竪堀の方へは進まず、右や左へ逸れようにも、こちらは切岸となっており簡単には登らせてくれない。 見た目で言うと、木々の関係から、この角度から見る畝状竪堀群が最も迫力があった。各自どの角度がよく見えるか現地で探してみてはいかがでしょう。 では畝状竪堀群の上を通って主郭へと向かおう。先程の坂道をあがっていくと、道が右に折れ、土が凹んだ場所が見えてくる。こちらが主郭への虎口となる。 分かりづらいが、先程上がってきた城道と虎口。今の状態を見ると左奥の副郭外壁に沿ってすぐに左の曲輪へ入っているようにも見えるが、実は手前にも小さな区画がある。資料によるとこれはいわゆる「外枡形」と同等の作りになっていて、当時は土塀や柵などでルートを遮られ、斜面の登城路をあがってきた兵は一旦 写真手前の外枡形へ入り、そして折り返すような形で左奥の虎口へと入っていたと想定されるとのこと。 外枡形虎口と、そこから入った先の小曲輪。奥の一段高くなった先は副郭だ。 この主郭南の小曲輪の更に南側には、尾根沿いに小さな曲輪が設けられ、その間は堀切で分断していた。また主郭群の西側にも畝状竪堀群が築かれていると資料にあったので見に行ってみたが、先程見た東側のそれに比べ、非常に薄くなっていた。 再び小曲輪へ戻り、副郭を見る。では主郭方面へと向かおう。 小曲輪から副郭への段差には、端っこが一部スロープのように盛り上がり、更に巨大な石が2つ埋め込まれていた。ここが入り口で、木戸のようなものが設置されていたのだろうか。 副郭へ。こちらもかなり広い削平地。左側にやや低くなって奥に続いている場所があり、そこが恐らく当時の通路だったのかも知れない。 そして副郭をさらに奥へ進むと、細長く一段高くなった場所へ到達した。この上が主郭に当たる。当時は板塀かなにかで囲われていたのだろうか。そしてところどころ石が埋め込まれているのが見える。ここも石垣造りだったのだろうか。左奥へ進む。 つきあたりまで行くと主郭の外周に当たる。隅部には割った石があり、その上の土は大きく削られていることから、当時は石垣があり、崩れたか持ち去られたかしたような跡が見られた。どこから主郭へと上がったか分からないが、ここから上へ上がろう。 ここから奥は主郭部。削平された細長い曲輪になっている。今は高い木々が周囲を覆っているが、山頂なので、木々を伐採すれば360度のパノラマが広がるだろう。残念ながら現在は主郭からは眺望は楽しめない。 主郭にところどころ残る表面が平らな石。建物の礎石か。しかし瓦片は見当たらなかった。 主郭を奥へ進む。 主郭中央部ぐらいに、外側二方向を土塁に囲まれた穴の跡らしき場所があった。 主郭の外周はかなり急な切岸となっていた。先の虎口へ入らず、斜面から直接入ろうとするのは困難だろう。 主郭北端にも城の北側へ抜ける道が設けられていた。ココを降りると最初に入ってきたときの堀切道へと到達する。 畝状竪堀群や石積み、外枡形風の虎口など、見どころが多い山手銀山城。地元のボランティアによるものか現場の草刈りなどの整備はかなり進められているものの、説明板や案内板の類が一切無いのが残念なところ。今後の史跡整備に期待したい。 訪問時期:2018年4月 撮影機器:FUJIFILM X-T10 + XF10-24mm – – – – – – – – ブログ人気投票参加中. いつも投票アリガトウ(^-^) 投票するのも、順位を見るのも、上↑のアイコンを押してね! ページの一番上に戻る close

山手銀山城:明瞭な畝状竪堀群や石垣が残る杉原氏の山城。
サイト名 城めぐりチャンネル
タグ お城
投稿日時 2018-08-20 02:20:01

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