第92景 〜小谷城の詳細

第92景 〜小谷城
カメも歩けば城に当たる… 城跡酔夢譚
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記事タイトル 第92景 〜小谷城
概要

小谷城(おだにじょう:黒金門跡)  滋賀県長浜市湖北町伊部 →Map 日本百名城No.49築城年:大栄3年(1523年)  築城主:浅井亮政(すけまさ)1575年廃城 梯郭式山城                          …… more      (撮影:2016年11月)北近江の国人領主から戦国大名へ上り詰めた浅井家三代の居城小谷城へ行ってきた。昨秋、全山燃ゆるがごとき紅葉の頃だ。今回は珍しく東京から車で近江国へと向かった。東名名神を走り、早朝に長浜市小谷山の登城口に到着、朝一番で山上の城跡を目指した。小谷山もと京極氏の家臣だった浅井氏が台頭したのは、大栄5年(1525年)頃、初代浅井亮政の代である。亮政(すけまさ)は小谷山に城を築き戦国大名への足場を固めた。小谷城はこの時築かれた山城である。二代久政の時、南の六角氏に一時支配されたが、三代長政は永禄3年(1560年)六角氏を破り、さらに版図を広げ戦国大名へと成長させた。その後はもう誰もが知る戦国の歴史悲話となる。隣国尾張の織田信長との同盟、信長の妹お市と長政の婚姻。信長の越前朝倉攻めでの裏切り。姉川の戦い、そして小谷城落城と三姉妹の運命。もう歴史小説で何度も聞かされた一連の物語である。落城の悲話、廃城後の山城の来し方を想うと 今ひとつ腰が重かったのだが、百名城指定でもあり、当初はハードルひとつ跳び越すような気持ちでの訪問であった。しかし、来てみると折からの紅葉と天候にも恵まれ、印象的で記憶に残る登城となった。望笙峠(ぼうしょうとうげ)から琵琶湖と竹生島を望む。朝、麓の資料館の開館時間よりだいぶ早く着いたので、先に登ることにした。郭のひとつ金吾丸あたりまで車で上がれるらしいが、ここはいつものように大手道からすべて徒歩で行くことにする。山道を一歩ずつ落ち葉を踏みしめながら登って行く。すぐに最初の郭「出丸」に着いた。典型的な山城の郭で二段の郭跡と土居が確認できた。大手口や城下を監視していたところだという。また少し登り望笙峠に出た。視界がさらに開け、 眼下に湖北の町と琵琶湖が確認できる景勝の地だ。さらに高台の金吾丸 に上がり番所跡を過ぎて、小谷城の主要部へと入って行く。直線状に配置されてた郭をさらに三つほど越えると、平坦な桜馬場に達する。 桜馬場 この郭の先端からも琵琶湖の絶景が望める。浅井氏と家臣の供養塔が建つ。桜馬場から先、大広間、本丸へと向かう虎口を守っていたのが黒金門 (冒頭の写真 )だ。浅井長政自刃の後、廃城となり打ち壊された城のイメージが湧いてくる一番の見所だろう。2011年NHK大河ドラマ「江(ごう) 〜姫達の戦国」でも桜馬場と黒金門でロケが行われた。一番広い大広間の先に本丸の石垣が残っている。本丸は鐘ヶ丸ともいい落城直前まで長政が居住していたところだ。信長の安土城以前に城郭に石垣を積んだ例は観音寺城ほか数例あるが、小谷城の石垣も穴太の石積み職人の手によるものだろうか? 大広間と本丸(鐘ヶ丸)跡の石垣本丸とその先の郭を仕切る大堀切りを越えて、中丸から京極丸と続く。そしてこの山城の最高所、標高395mの山王丸 に達する。山王丸南側の虎口跡には破壊された石垣が散乱しており、ここにも黒金門同様「敗者の城」を象徴する 景色が広がっていた。また山王丸の東面に高さ5mの野面積みの石垣の一部が残り、大石垣と呼ばれている。山王丸虎口跡:破壊され散乱する城石、敗者の城である。大石垣山王丸からは六坊へ下り、搦手口から清水谷へ下る道をとれば小谷城の全体像を掴めるところだが、もう少し撮り込みたい撮影場所もあって、同じコースを下ってしまった。機会があれば違う季節にもういちど登ってみたい。所要時間は一般的なハイキングコースと撮影では時間に開きがあって、参考にならないかと思うが、往復で6kmほど、4時間を費やした(普通は半分の2時間あれば充分だろうか?)。同盟者だった信長を裏切り、戦いの末滅亡した浅井家三代の栄枯盛衰を見てきた小谷城。自刃して果てた久政49歳、長政は29歳だった。なぜ裏切ったか?については、信長が浅井朝倉の古くからの同盟関係を無視して朝倉攻めを始めたことが原因、というのが通説である。もう少し詳しい資料を探したら、これがKindle版で見付かった。浅井長政が反信長統一戦線(朝倉善景、足利義昭、石山本願寺、甲斐の武田信玄)に戦国大名としての一縷の望み、天下取りの展望を見たのかもしれない……という説などは非常に面白かった。知りたい個所だけピンポイントで読めて、103円はなかなか良い!  今回の小谷城、木立の合間から望む琵琶湖の風景に、近江の国と戦国の歴史へと誘われる旅であった。あとNHK大河の「江 〜姫達の戦国」であるが、個人的には久しぶりに途中で放棄したドラマだった。簡単に言うと好みじゃなかったということだ!(詳細は省くきます)じゃぁまた  close

第92景 〜小谷城
サイト名 カメも歩けば城に当たる… 城跡酔夢譚
タグ 近畿の城
投稿日時 2017-01-06 04:12:04

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