大坂城跡発掘調査現地説明会(2019年3月23日)の詳細

大坂城跡発掘調査現地説明会(2019年3月23日)
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記事タイトル 大坂城跡発掘調査現地説明会(2019年3月23日)
概要

  3月23日(土)に開催された大坂城跡発掘調査現地説明会に行ってきました。 国の大阪第6地方合同庁舎(仮称)整備等事業に伴い、公益財団法人大阪府文化財センターが、平成30年(2018)11月から実施している発掘調査で、場所は大阪府警察本部の西側、大坂城の三の丸跡にあたります。 …… more                                                 (説明会資料より)  ちなみに、平成14年度(2002)に行われた大阪府警察本部棟建替えに伴う発掘調査では、豊臣期大坂城二の丸大手口を逆コの字形に囲む堀の底に堀障子が確認され、大きな話題となりましたね。今回の場所は、その西隣の場所になります。  地下鉄の谷町四丁目駅からすぐ場所。道路を挟んだ向かい側にはNHKや大阪歴史博物館があるところに、工事用の囲いで囲まれた一角が今回の現地説明会場です。  受付は午前9時30分から。午前10時から説明を始めるということでした。   受付で頂いた現地説明会の資料は、カラー刷りの立派なものでした。  今回の調査は、徳川期(江戸時代)の盛土を除去し、豊臣期の地面まで掘り進めて行われたということです。    徳川期の盛土を除去した後に、大坂の陣頃の遺構面が検出されたということで、今回公開された遺構面は、大坂の陣直前、秀吉没後の三の丸完成時期のものにあたるそうです。(上の図と写真は説明会資料より)  現場の様子はこんな感じです。(南東側から見たところ)  (北西側から見たところ)  今回の現地説明会対象の調査区はこんな感じです。(説明会資料より) 今回の調査区内で、上段・中段・下段の三段構成を成すひな壇状の造成地が見つかったということです。  中段は標高18mほどで、上段と下段はそれぞれ1m前後の比高差だということです。  中段は調査区中央にあり、南北約25m、東西約33mで、概ね平坦で、礎石立ち建物跡が見つかったということです。  下段は調査区東端から南端にかけてL字形に見つかったそうです。  上段は調査区の北端と南端で部分的に見つかったそうですが、調査できた部分が少なく、様相が明らかではないそうです。 左側の高い部分が上段、右側が中段  午前10時から担当者の方の説明が始まりました。   中段では東西に並ぶように礎石立ち建物跡が2棟見つかったということですが、そのうち西側の大きな方の建物跡(建物1)は、東西10間(約20m)、南北7.5間(約15m)、推定100坪の大規模な建物であるとのことです。    建物の柱を支えていた礎石です。  石が抜き取られたところには、黒い土のうが石の代わりに置かれています。   建物1の東辺の礎石の間隔を見てみると、2m間隔になっているとのことです。  建物1の南辺には、幅1m間隔で礎石が2列に並んでいます。  この部分は縁側のような施設であったのではないか、とのことです。  建物1の北側には入口にあたると思われる場所が見つかっています。   この入口部分には、3~5㎝程度の大きさの玉石が帯状に敷かれた箇所が見られるとのことです。   南側の礎石が張り出している部分も出入り口に相当する可能性があるとのことです。  集水桝跡  建物1の北側の柵列跡  建物1の東側の建物跡(建物2) 東西約4m、南北約15m、推定20坪ほどの南北に長い建物と考えられるとのことです。  現地に掲示されていた写真で見ると、建物1と建物2の位置関係はこんな感じです。  建物2の礎石の間隔は、建物1の礎石の間隔の半分の1mとのこと。  建物2の構造の詳細はまだ判然とはしないが、竈が1基見つかっており、箸や漆器椀、蓋、折敷他の木製品が多量に出土したそうです。  また、瓦を使用した集水用の桝と思われる施設も見つかったとのことです。 この中から「扇に月丸紋」の家紋を持つ瓦が見つかったそうです。 このような状況から、建物2は、台所のような機能を持つ施設であったと想定されるとのことです。  下段は段落ち際に、細い溝によって区画された6つの区画が見つかったということです。   掲示されていた写真で見るとこんな感じ。 下段の区画からは、火縄銃の玉がまとまって出土し、その玉の中には、鋳バリが付いたままの玉があり、この場所で製造した可能性や工房等があったことも想定されるということです。  また、下段から瓦を構築材に使用した三つの連なったカマドも見つかっているそうです。  見学コースの最後には、出土した遺物の展示も行われていました。  中段と下段の遺構面及び包含層から、唐津焼、志野焼、備前焼等の国産陶器や中国製青花白磁等の輸入磁器をはじめとする桃山陶磁器、漆器椀、下駄、箸など多岐にわたる木製品、装剣金具の目貫といった多種多様な遺物が出土しているそうです。  上から、塩焼壺、備前焼、輸入陶磁器  唐津焼  上は志野焼、下は瀬戸美濃焼  「扇に月丸紋」の家紋瓦     軒丸瓦  軒平瓦  下段で見つかった鉄砲玉  貨幣  建物2の部分の炭灰層の中から見つかった箸  同じく炭灰層の中から出土した赤漆塗りの椀  石臼  今回の調査では、大規模な礎石立ち建物があったことがわかり、この場所が大名屋敷の一部であったことが推定されるということです。秀吉は、秀頼のために大坂城の守りを強固にするため、様々な改造を加えていくが、その最後となるのが、慶長3年(1598)の武家地の整備と考えられており、この時には、主に東国に拠点を持つ大名たちが伏見城から大坂城の武家地へ移住を命じられているとのことで、今回見つかった造成地や屋敷も、この時に造られた可能性があるとのことです。 出土した「扇に月丸紋」の家紋を持つ瓦や、周辺のこれまでの発掘調査で「さ竹内」と墨書された荷札木簡が出土していることから、今回見つかった屋敷地も佐竹義宣の屋敷に関連する可能性があるということです。 なお、建物1の場所には、大坂の陣に伴うと考えられる炭がほとんど見られないことから、大坂の陣の頃には、建物自体は撤去されていた可能性があるということです。  また、下段は、屋敷の建物が撤去された後、大坂の陣の際の豊臣方の陣小屋のような施設があったのではないかということです。  またまた貴重な現場を見学できたという思いですが、仕方がないというものの、いずれは建物が建設されるため、この素晴らしい遺構が埋もれてしまうんだと思うとちょっと悲しくなりますね。               close

大坂城跡発掘調査現地説明会(2019年3月23日)
サイト名 城めぐりん
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投稿日時 2019-03-30 03:40:03

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